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アンティーク家具について

仕掛け・隠しがおもしろいアンティークのからくり箪笥

モダンスタイルのお部屋にそっと置かれた時代家具――。アンティーク和家具を知らずに育った世代には新鮮に映る時代家具を、インテリアに取り入れている若い人も最近ではずいぶん増えてきました。
選ぶ基準は、
「鍵穴まわり、錠前(じょうまえ)金具に施された動物のモチーフがかわいかったから。」
「収納したいものに合った引き出しサイズと家具サイズだったから。」
など人それぞれですが、時代家具のおもしろさはもっと内部の見えないところにも隠されているの、ご存知でしたか?
その答えは、からくり。例えば普通の引き出しの奥に小さな隠し引き出しがあったりなど、パッと見ただけでは分からないからくりを備えた家具のことを「からくり家具」と呼びます。
今回はどうしてそんなおもしろい家具が生まれたのか、船箪笥に始まったその歴史とともに、からくり家具の巧妙な仕掛けを種明かししていきましょう。

アンティークからくり家具のはじまり、船箪笥

アンティーク船箪笥の歴史
からくり家具の始まりは、その豪華さで今でも人気の高い「船箪笥」だと言われています。この箪笥は主に江戸時代、大阪から日本海側を蝦夷地(現在の北海道)まで行き来し、商品の仕入れ・売買を行っていた”北前船”で使われていました。
北前船は約1年かけて往復し、うまくいけば千両前後の儲けが期待できる商売だったそうです。そば一杯16文(1両=4,000文)だった時代、千両がどんなに大金だったかわかりますね。

盗難防止のための仕掛け。船箪笥のからくり

船箪笥のからくり
日本海の荒海を行く北前船で使われていた船箪笥には、船旅・商売に必要な書類・資金一式が入れられていました。
そんな重要な役割を持つ家具だったわけですが、その管理者である船頭さんがいつも肌身離さず持っていられるわけもありません。すると大勢いる乗組員の中には、悪いことを考える者も出てくるわけです。
そこで盗難防止のために登場したのが「からくり」です。冒頭でご紹介した隠し引き出しの他にも、二重底や、扉や引き出しに見えて実はずらして外す「摩戸(ずりど)」などさまざまな仕組みのからくりで、大事な書類・資金を守ったのです。
そして収入のいい船頭さんが好む、豪華な金具使いの中に巧妙なからくりがたくさん詰まった、まるでパズルのような芸術品を職人たちはこぞって作りました。

意外な由来を持つからくりの代表、倹飩式扉

箪笥の倹飩
数あるからくりの中でも代表的なもののひとつが、倹飩(けんどん)式扉です。引き出しに見えた戸や摩戸を、上下に動かして取り外す仕組みで、ちょうど押入れの襖(ふすま)を取り外すような感じですね。
あまり聞きなれない音と見慣れない漢字のこの言葉。実は「倹約饂飩(うどん)」と言う、江戸時代うどんやそば切りを一杯ずつ売ったとても無愛想なお店の略で、「つっけんどん」と言う単語もここから生まれたそうですよ。
今ではあまり見かけませんが、うどんやおそばの出前の箱にもこの倹飩式扉が使われていることを考えると、妙に納得してしまいます。

音の鳴るからくりにびっくり、ハーモニカ箪笥

ハーモニカ箪笥
一見ふつうの時代家具に見えるこの箪笥。実は引き出しのひとつを開けると、「ファ~」とハーモニカのような音が鳴り、ハーモニカ箪笥の愛称で親しまれています。
この箪笥の種明かしはとても単純。引き出しを抜くと、奥のほうにハーモニカが取り付けられていて、空気の出入りで音が出る仕組みになっていることがわかります。船箪笥には見られなかった新しめのからくりですが、引き出しの密閉性が高くないと音が出ないため、高い技術のある職人さんが作った証拠になります。
船箪笥のからくりと同じく防犯のために付けられていますが、泥棒としてはびっくりした後笑い出してしまいそうな遊びごころが感じられますね。

最後に

家具に仕掛けをつけるなんておもしろいことを考える人がいるなぁ、と思ったら、実は防犯のためと言う重要な役目を持ってうまれた「からくり家具」。今の暮らしでも、へそくりや貯金通帳など隠しておくのにちょうどいいですね。
目に見えるところだけでなく、こんな隠れたところにも目を向けると、時代家具選びがもっと楽しくなるはずですよ。

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