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イギリスアンティーク家具にも寄木細工?伝統あるパーケットの歴史

みなさん、「寄木細工」を見たことはありますか?
寄木細工とは、見た目の美しい薄い木材を木製家具などに張りつける化粧技術の一つで、さまざまな種類の木の色や木目の違いを利用して模様を描き出す技法のことです。
多くの人は「寄木細工」と聞いて、伝統工芸として世界的にも有名な「箱根」を思い浮かべたのではないでしょうか。日本人にとっては、寄木細工といえば “日本の伝統工芸” というイメージが強いように思いますが、実は寄木細工の技術は世界的に、特にヨーロッパではとても盛んな工芸技術なのです。
そして、イギリスを始めとするヨーロッパのアンティーク家具の中では、寄木細工で装飾されたものは、無垢材をそのまま使った家具よりも美的にも製品的にも価値が高いと評価されることも多いのです。
今回は、そんな寄木細工の歴史を、イギリスアンティーク家具を中心にご紹介したいと思います。

古代遺跡にも!寄木細工の長い長い歴史

寄木細工の歴史
寄木細工の歴史は予想以上に古く、古代メソポタミア(現在の中東、シリアあたり)で生まれたと言われています。古代エジプトの遺跡からは、ファラオの副葬品の中に寄木細工を施されたものが発見されたそうです。
それがイギリスをはじめとするヨーロッパ各国や、トルコ、それからシルクロードを通って日本まで伝わり、それぞれに技術やデザインの進化を遂げました。
イギリスで寄木細工が流行したのは17~18世紀頃。イギリスのアンティーク家具といえば、艶やかな木の質感、どっしりとした重厚感、豪華な装飾、というイメージが強いのですが、この頃のものは、当時ヨーロッパで芸術の最先端だったオランダの影響を受けて、繊細なスタイルが採り入れられていました。
同時に、オランダから寄木職人がやってきたことによって、イギリスにもともとあった技術が磨かれ、寄木細工の人気が高まったようです。

描き出すモチーフで異なる2つの技法

パーケットダイニングテーブル
化粧板で家具などの見栄えをよくする装飾技術は今でも数多くありますが、イギリスアンティーク家具の歴史の中では大きな2つの技法があります。
この2つの技法、さまざまな木目や色の “木を寄せて” 化粧板に模様を描き出す、という点は共通ですが、その製法とモチーフがまったく異なります。

自然を描く「マーケットリー」

マーケットリー家具
木の色味の違いを活かして装飾する技法としてイギリスでまず主流になったのが「マーケットリー(Marquetry)」。日本では「木象嵌(もくぞうがん)」と呼ばれる技法の一つで、やはり箱根などが有名です。
その一番の特徴は、自然の植物や動物などのモチーフを曲線的な線で描く、”絵画” のようなデザインであること。色の異なる木で作った薄い板を、デザインに合わせて切り抜いたり、重ねたり、張り合わせたりしてコントラストのある絵を描き出し、1枚の化粧板の中にはめ込んで家具の表面に張りつける技法です。
17世紀末頃までのイギリスでは、さまざまな “木を寄せて” 模様を描いた化粧板で家具を装飾する技法といえばこのマーケットリーのことを指していました。

緻密さが求められる「パーケットリー」

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アンティーク家具や建築に詳しい方は聞いたことがあると思いますが、寄木細工のことを英語では「パーケット(Parquet)」と言います。もとはフランス語の言葉ですが、英語でもそのまま「パーケット」が使われたり、少し変化した「パーケットリー(Parquetry)」が使われたりします。
今では広く一般に寄木装飾の意味で使われることもありますが、「パーケットリー」とは本来、自然界には見られない “幾何学模様” を描き出す技法のことです。木片をパターンが同じになるように重ねて切り、張り合わせて幾何学模様のモチーフを描きます。製法は異なりますが、箱根の寄木細工とデザインはよく似ています。
イギリスアンティーク家具では、まずマーケットリーが主流となり、その後パーケットリーに移行しました。幾何学模様は緻密さを求められるため、描き出すには熟練した職人の技術が必要であり、その技術が円熟するのに時間がかかったのだそうです。

最後に

アンティーク家具に装飾として施すことによって木製製品の価値を上げる寄木細工、パーケット。歴史だけ聞くと少し遠い世界のような気がしてしまったでしょうか。でも、箱根の寄木細工ではなく、パーケットが実は私たちのとても身近なところにも存在するのです。そのデザインに注目すれば、なるほどと思っていただけるはず。
次回はデザインに着目して、寄木細工をもう少し身近に感じていただきたいと思いますので、お楽しみに!

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