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アダム様式とは

アダム様式とは18世紀後期のイギリスにおける建築や内装及びその関連工芸の表現形式です。建築家でデザイナーのアダム兄弟が確立したもので、主に室内装飾や家具等に用いられます。新古典主義隆盛の時流に適った、直線的な外観や明るい色調、精細華麗な装飾を持つ独自の洗練様式を展開して人気を博し、内外の装飾美術に大きな影響を与えました。

アダム様式誕生の時代背景

アダム兄弟は、別で建築家となっていた長兄のジョンを除く、次兄のロバート・アダムと弟のジェームズ・アダム、末弟のウィリアムで構成され、ロバートが中心的でした。その活躍時期が国王ジョージ1世から4世まで続くジョージアン期(1714-1830)の中期に当たるため、その作品は「ミッド・ジョージアン様式」として紹介されることもあります。

彼らは、欧州で流行し始めた直線的・対称的な新古典主義様式の端正さと、軽快華麗なフランス・ロココ様式の装飾性を独自に併せて洗練された美しさを生み、時代の寵児となります。それには、産業革命の進展による新富裕層の出現や住宅ブーム、アフタヌーンティーや家庭演奏会流行等の生活文化・社交文化の発展という、社会的背景がありました。

建築から食器に至る全てを精細にデザインするという総合調和を志向し、その特徴には古典に倣った精緻な比率による構成や、淡く明るい色彩の使用、浅いスタッコ(漆喰)装飾、家具の精巧な象嵌意匠等があります。陶芸家ウェッジウッドや家具師ヘップルホワイト、アメリカのフェデラル様式等に影響を与えるなど、内外にその存在感を示しました。

兄弟で作り上げた「アダム様式」の歴史

アダム様式の源泉は「建築」

1728年、英国北部スコットランドの著名建築家ウィリアム・アダムのもとに次男ロバート・アダムが誕生します。ロバートは、その後王立高校やエディンバラ大学でラテン語やギリシャ語のほか、数学や解剖学を学び、のちの人生の基礎を築きます。そして46年から父に師事し、48年の父の死後は、その仕事の一部を補完するなどしました。

その後、兄と共に建築に携わるかたわら、ロンドンなどへ旅行して古いゴシック建築に関心をもち、1754年からは知人貴族らに同行して「グランド・ツアー(長期修学旅行)」に出発します。途中まで弟のジェームズも同行してブリュッセルやパリの教会や宮殿等を見学し、その後イタリアのローマに滞在して古典建築の研究や描画技能の研鑽を行ないました(ジェームズは60年から63年にグランド・ツアーに参加し、兄の足跡をたどります)。

デザイン界の寵児に

1758年、ダルマチア(現クロアチア南部)での遺跡研究を経て英国へ戻ったロバートは、ジェームズらと共にロンドンで建築事務所を設立します。彼らは家の内装や家具を総合的に設計することを志し、様々な古典様式を採り入れた柔軟で新しいスタイルを創造します。これがアダム様式の始まりで、部屋全体を細部までデザインしてかつてない統一感と洗練された美しさを創造し、たちまち上流階級での人気を得ました。

折しも新古典主義思潮の隆盛と重なったロバートらの仕事は、デザイン界に大きく影響し、比較的厳格なパラディオ様式が主流のそれまでの流れを一変させます。それはロココ家具の寵児チッペンデールとの共作や、革新的陶芸家ウェッジウッドへの影響に結実しました。
1761年にはロバートが王室建築家に任命され、64年には彼によるダルマチア遺跡の研究成果『スパラトのディオクレティアヌス皇帝宮殿廃址(Ruins of the Palace of the Emperor Diocletian at Spalatro in Dalmatia)』も発表。また、この頃から代表作のヘアウッド・ハウスやケドルストン・ホール、オスタリー・パーク、ケンウッド・ハウス等を手がけ始めます。

アダム様式の広がり

アダム兄弟は、以後も不休の活動を続け、英国の装飾界を牽引します。1778年と79年には『ロバートとジェームズ・アダム兄弟の建築(The Works in Architecture of Robert and James Adam)』を出版し、アダム様式をより広範に知らしめました。

アダム様式と、アーツ・アンド・クラフツ運動

そして、1792年にロバート、94年にジェームズが死去すると、その活動も終焉することとなります。しかし、トータルデザインによる生活の質や利便性の向上を図った彼らの革新的思想は、19世紀末のアーツ・アンド・クラフツ運動等へ引き継がれることとなります。

アダム様式家具の特徴とは?

アダム兄弟は、室内装飾と共に数多くの家具デザインも手がけました。洗練された優雅さや華やかな装飾性をもつそれらは、同時期に現れたフランス新古典主義様式との類似により、「イギリスのルイ16世様式」とも呼ばれます。ヘップルホワイトやシェラトンらの家具師もその要素を採り込み、より安価な家具や図版を提供し、様式の普及と一般への認知度を向上させました。

アダム様式、家具の種類

当時使われていたあらゆるものに及ぶかと思われますが、一例としては、アームチェア(肘掛椅子)、ソファ、コモード(小箪笥)、ライティング・ビューロー(書記机)、コンソール(壁面卓)、サイドボード、ドロワー(衣装箪笥)、キャビネット(戸棚)、壁付飾り棚、ガラス飾り棚、テーブル、円テーブル、燭台等があります。

デザインの特徴

アダム様式の家具の特徴には、全体的に直線的な意匠、細身の形状、椅子の背が盾や竪琴(リラ)・円・楕円・パテラ(献酒皿)形、椅子等の脚が円か四角の先細りの挽物で胡麻柄の「フルーティング(縦溝)」があり根元が葉模様・脚先が「スペード・フット(逆やじり型)」、彫刻にハニーサックル(スイカズラ)や穀物殻(ハスク)・パテラ・花輪が多い、彫刻された金物が多い、木地に着色等を施したものが多い、精巧な寄木細工(マルケトリー)や象嵌(インレイ)の多様等があります。

彫刻等の装飾

古代ギリシャやローマ、そして中世ゴシック由来のものが多く、模様も同様で、ハニーサックルや穀物殻、パテラ、花輪、貝殻、羊頭、花綱、トロフィー、幾何学模様、ロゼット(花形)、アカンサスの葉、葡萄等があります。また、彫刻以外の装飾には、寄木細工や象嵌、板貼り(ベニアリング)、格子組み、金箔貼り(ギルディング)、着色等があり、材料はサテンウッドやマホガニー、紫檀、ウォールナット、キングウッド、楓等のほか、布、革、ガラス、時計(組み込み用)等があります。

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