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バロック様式とは

バロック様式とは、イタリアのローマで始まった芸術運動「バロック」(16後期-18世紀中頃)における文化・芸術の表現形式です。カトリックの神秘性や絶対王政の絢爛さ、市民社会の現実性等の、当時の世相を反映した複雑多彩、そして劇的豊麗な建築・工芸・絵画・音楽・演劇・文学等を生みだし、イタリア各地から欧州、そして世界に広がりました。

バロック様式の世界観とは?

バロックの名はポルトガル語の「いびつな真珠」が語源とされ、動的で劇的な様式を指す語として18世紀末から使われたとされます。人間主体で完全や調和を求めた前代のルネサンスと異なり、神や王権を象徴する役割を担っていたバロック様式は、曲線や楕円、感覚的で壮大な表現が好まれ、小物から都市に至る様々な創作が統合され、総合芸術の様相も呈しました。

バロック様式の家具、その特徴

バロック期にはルネサンスの意匠を継承しながら、実用性より装飾性や豪華さを強調した家具が現れます。
彫刻等の装飾は古代の意匠を発展させたものが用いられており、ルネサンスと共通のものが多くなっています。

彫刻等の装飾

花や貝殻、アカンサスの葉、ライオンの頭と足、羊の頭と角、鷲(わし)、イルカ、その渦巻、グロテスク(ツル草に動植物を絡ませた模様)等があります。

国別のバロック様式の特徴

イタリア

装飾過剰ともいえる程に、随所に渦巻の装飾が見られます。
材料はウォールナット、松、紫檀、黒檀等のほか、象牙や宝石、絵画も使われ、金箔貼りや象嵌も施されます。
チェアの背もたれや座面には、ベルベット、絹、錦、刺繍の他にも型押し革などが使用されていました。

フランス

各国の様式が混ざり合うルイ13世様式から始まり、バロック家具の頂点とされる「太陽王」ルイ14世様式に結実します。
染色した木材やべっこうや真鍮の切り抜きを使った象嵌(ぞうがん)が多用されたり、彫刻への金箔貼りも行なわれるなど、いろどり鮮やかな装飾が施されていました。曲線や装飾が増え、金箔貼りの彫刻枠をもった豪華な鏡も多用されます。

ドイツ

ルイ14世様式の模倣によるデザインが多く、徐々に単純化し、イギリスやオランダの影響が現れはじめます。
ライティングビューロー、コンソールテーブル、長椅子などがあり、テーブルや椅子はルネサンス風で彫刻や挽物、寄木象嵌などで装飾されていました。

スペイン

欧州の華麗さと、イスラムの濃厚で多彩なデザインとの混合が特長です。
テーブルは天板が厚く、木端(こば)にパターン模様や面取りが施されています。
貫(ぬき)は鉄製で武器状のものがあり、椅子は張地が鋲止めの型押し革、貫にバロック的彫刻を施すものもあります。
また、しなやかな螺旋形の構成や騙し絵、金箔、彫刻、曲線の多い建築正面を模した装飾も施されました。

イギリスのバロック様式

イギリスのバロック様式は、17世紀前半の前期ジャコビアン様式から始まり、17世紀後期の後期ジャコビアン様式(カロリアン様式)やその後のウィリアム・アンド・メリー様式として展開していきます。

ジャコビアン様式についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

ジャコビアン様式」のRAFUJU MAG 辞典ページはこちら

前期

ルネサンス様式を継承しながら、凝った彫刻が増えていきました。ボビンレッグや幾何学模様の板飾り、象嵌が流行します。

後期

後期になるとフランドルやフランス様式との混合で、貫(ぬき)等に渦巻の彫刻やツイストレッグ、トップ部分に王冠や格子の彫刻を施したものは増えます。
布や革張りの椅子、化粧張りや寄木のドロワー、また東洋風の漆家具も作られました。

ウィリアム期はオランダの影響を受けた小型で装飾的なものが多く、寄木が発達し、椅子は背が透かし彫りで曲線が増えて座や背の籐張りも増え、テーブルやチェストの脚に鐘形や蛇腹の貫も使われます。

バロック様式の歴史

バロック様式初期(1600年~)

16世紀初期に始まった宗教改革はヨーロッパ全体に広まっていきました。批判対象のカトリック側でも「対抗宗教改革」という名の内部刷新を始めます。ミサは熱狂的な宗教感情を共有する場となり、教会はそれを盛り上げる劇的で絢爛豪華な舞台となることが求められはじめます。また同じ頃出現した絶対王政も、威光を現前化するため、同様を必要としました。
そうした時代の要望によりバロックは教皇庁があるローマで同世紀後期から始まります。初のバロック建築ジェズ教会をヴィニョーラとポルタが設計し、理想と写実の調和に長けたカラッチ一族や、劇的な写実画に秀でたカラヴァッジョ、華麗さで絶対王政に模倣されたコルトーナらが宗教画・装飾画等に腕を揮い初期バロックを形成します。
また、彫刻では身振り・感情表現が豊かなモーキや抑制的なアルガルディ、詩では誇張や大胆な隠喩を用いたマリーノ、音楽では感情的表現を探求したモンテヴェルディらが活躍しました。

バロック様式中期(1625年~)

17世紀前期に対抗改革が一段落すると、バロック様式はより劇的・装飾的な「大様式」へと進化します。
彫刻から始まり建築や広場・噴水へと活動を広げローマをバロック都市としたベルニーニは絵画等も統合した総合芸術を実現し、複雑な形体を動的に統合したボッロミーニはバロック建築の可能性を極限まで拡大、コルトーナは躍動感に満ちた絵画や力強い正面と荘重な内部を持つ建築を手がけ、盛期バロックを形成しました。
17世紀半ばからは、画家サッキや弟子のマラッタによりバロックの華麗さと古典主義の威厳を融合させたバロック的古典主義も起こります。
そして、バロックはイタリア各地に広がり、ヴェネツィア、ジェノヴァ、トリノ、ナポリ等をバロック都市に変容させました。

バロック様式後期(1675年~)

17世紀後期にはローマのジョヴァネやライナルディらが古典的傾向をもつ建築で後期バロック様式を先導し、フォンタナがその代表となり広く影響を与えます。
一方、同時期には遠近法や仰視法を駆使した幻惑的な天井画「クアドラトゥーラ」が流行し、ポッツオ等の名手が輩出されました。
そして、17世紀末以降、バロックは衰退を始めますが、周辺の絶対王政国家等に継承され、独自の発展をすることとなります。

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