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バロック様式とは

バロック様式とは、16世紀後半にイタリアのローマで始まった文化・芸術の表現形式のことを指し、17世紀~18世紀初頭にかけてヨーロッパ諸国へ広まっていきました。荘厳で華麗な装飾や曲線、楕円といったデザインが多く用いられ、また、建築においては彫刻や絵画などの装飾で構成された空間が特徴的です。バロック様式の芸術性は、当時支配力を強めていたカトリックや、絶対王政の国威など、権力の主張としての役割も果たしました。

バロック様式の特徴

バロック様式の特徴は、実用性より装飾性や豪華さを強調しているところです。ルネサンス様式や古代の意匠を継承しながらも、曲線や楕円、感覚的でより壮大な表現がなされています。

ちなみに「バロック(baroque)」の名は、ポルトガル語の「バロッコ=いびつな真珠(barroco)」が語源とされ、動的で劇的な様式を指す語として18世紀末から使われたとされます。人間主体で完全や調和を求めた前代のルネサンス様式に対し、バロック様式は神や王権を象徴する役割も担いました。

彫刻等の装飾

バロック様式の家具には、花や貝殻、アカンサスの葉、ライオンの頭と足、羊の頭と角、鷲(わし)、イルカ、その渦巻、グロテスク(ツル草に動植物を絡ませた模様)などの彫刻が施されました。

バロック様式の歴史

バロック様式の歴史は、16世紀後半のイタリアではじまります。その後18世紀初頭にわたってヨーロッパ諸国に広まり、建築や絵画など芸術面に影響を与えました。また、バロック様式は前期・中期・後期の3つに分けられ、それぞれ異なった性質を持っています。

前期(17世紀初頭~中頃)

バロック様式がイタリアで興ったこの時期、その背景にはカトリック教会との対立や宗教改革などの影響がありました。カトリック教会は芸術や建築を通じた信仰を強調し、人々の信仰をさらなるものへと導きます。
そのため教会や宮殿には豪華な外観が求められ、対称性と重厚なデザイン、かつ手の込んだ彫刻や絵画などが装飾に用いられた建築物が次々に生まれました。

中期(17世紀中頃~後半)

17世紀中頃になると、宗教改革は一段落し、フランスやスペインで中期バロック様式が栄えます。この頃のヨーロッパ諸国の社会では、絶対王政が盛んとなり、国王や貴族は建築を通じてその権威を誇示するように。そのため、バロック様式はより劇的かつ装飾的な豪華絢爛なものへと進化していくのでした。建物の対称性は依然として優先されましたが、より複雑な曲線や立体感のあるデザインが求められるようになります。また、宮殿や教会の内装も重要視されるようになり、豪華な室内装飾のほか、宮廷家具のような優美な家具や調度品も生み出されました。

後期(17世紀末~18世紀初頭)


17世紀後半になると、オーストリアやドイツでもバロック様式が発展。社会的には宗教的な対立は依然として続く一方で、哲学者や建築家といった有識者による啓蒙思想も盛んになりました。また、バロック様式は教会建築が中心となり、前期や中期よりも豪華な意匠が見られるようになります。バロック様式の芸術性と技術性は極限に達し、感情的な表現や劇的な印象を与えるとともに、宗教的な要素と調和しました。

やがて17世紀末以降、優美で開放的なロココ様式が台頭すると、バロック様式は衰退を始めます。しかしながら、周辺の絶対王政国家などでは技術や思想が継承され、独自の発展をすることとなります。

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