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ブルボーズレッグとは

ブルボーズレッグとは、球根(ブルボーズ)状の大きな膨らみをもつ西洋家具の挽物(ロクロ細工)製の脚や土台で、テーブルやイス等に用いられます。16世紀頃から18世紀初期頃にかけてヨーロッパ各地で流行しました。

アンティーク家具デザインの金字塔、ブルボーズレッグ

ブルボーズレッグ イギリス

一度見ると忘れられないインパクトをもつブルボーズレッグ。そこには、古代ギリシャやローマのデザインに由来する彫刻による装飾を施す場合が多くみられます。ブルボーズレッグの形状は、上下2段に分かれた巨大な棗(なつめ)形が代表的で、上部ははなびら形の凹凸、下部はアカンサスの葉で装飾されています。それ以外にも、ブドウ、パルメット(スイカズラ)などが施されている場合があります。

時代別のブルボーズレッグのデザイン

ブルボーズレッグは作られた時代によって様々なデザインが生まれています。ここからは時代ごとのデザインをご紹介していきます。

ゴシック様式期(12-15世紀)

ブルボーズレッグ デザイン

ブルボーズレッグは12~15世紀のゴシック様式期に発生したとされています。
当初は表面の彫刻がなく、その後ルネサンス様式の影響を受けて次第に古代デザイン風の彫刻が施されるようになります。

流行したのは16世紀頃のルネサンス様式期

ブルボーズレッグ 彫刻

ルネサンス期に流行をはじめたブルボーズレッグは、ゴシックにルネサンス様式を加えた16世紀後半のイギリス・エリザベス様式で発達しました。
そこで、棚やテーブルにおける権威を象徴するためのデザインとして、重厚感のある球根型のが確立されました。そして、その後も主にイギリス由来のデザインを代表的なものとして、18世紀初頭頃まで盛んに用いられました。

ジャコビアン様式期(1603-89)

ブルボーズレッグ チェア

ジャコビアン様式期のブルボーズレッグの特徴は、全体の形状が細くなっていき、花瓶形に変化した点が挙げられます。
小さくなったブルボーズレッグは、中型家具にも取り入れられ、ダイニングチェア等に見られるようになりました。
そして、エリザベス期から存在したドローリーフテーブルが流行します。
また、当時イギリスの植民地であった北米のコロニアル様式(アーリーアメリカン)や、周辺各国にも影響を与えました。

ブルボーズレッグの歴史

ブルボーズレッグの発生は中世イギリス

ブルボーズレッグの詳細な起源は定かではありません。しかし脚が挽物(ひきもの)で作られ、その一部が大きな造形物になっている青銅や大理石製の椅子また寝台は、古代ローマ(前1-4世紀)にも存在しました。その後、カロリング・ルネサンス様式期(8-10世紀)のイタリアでも、似た装飾と形の台座をもつ石造の法座などがみられます。そして、中世イギリスのゴシック僧院に、ブルボーズレッグの直接の祖とされるものが現れました。

※エリザベス期のブルボーズは、ネーデルランド(オランダ・ベルギー)の装飾美術家デ・フリースらのデザインに影響されて生まれたとの説もあります。

住宅の進化と共に流行を始めたブルボーズレッグ

イギリス コーディネート

16世紀、古代ギリシャやローマ文化の復興に向かったルネサンス運動が進展すると、ブルボーズレッグはイタリア・フランス・オランダ等でも流行します。しかし、その重厚さを完成させたのはエリザベス女王期(1558-1603)におけるイギリスの家具デザインでした。安定と発展の時期に入ったイギリスでは、個人の住宅が発展し、それぞれの生活様式に応じた家具が製造されるようになります。

●家具デザインの進化は暖炉がきっかけ?

マントルピース イギリス
これまで部屋の中心にあった暖房器具が壁内の暖炉となり、部屋が広くなったことから、家具のデザイン性や機能性の向上に目が向けられ始めたと言われています。応接の役割が増えた部屋には、食卓を始め、様々な家具が置かれることになりました。これによって、家具は装飾的となり、ブルボーズレッグも多岐に渡るデザインへと発達することになりました。

ブルボーズレッグのアンティーク家具

ダイニングテーブル

イギリス ダイニングテーブル

ダイニングテーブルは上流階級のステータス・シンボルとして、広間やロングギャラリー(長広間)に置かれていました。

コート・カップボード

コート・カップボード アンティーク

コート・カップボードは、その太さ・大きさで、圧倒的存在感を誇り、ブルボーズレッグの印象を決定づける家具になります。

その他のブルボーズレッグ家具

ブルボーズレッグ 家具ブルボーズレッグ 種類
多用なデザインが生み出されたブルボーズレッグは、球根部分だけを残し、脚の短い家具にも使われています。ライティング・ビューローやチェア、ガラスケースの他にも、チェストや天蓋付ベット、等にも見られます。

●ユニークな見た目を形容するために作られた、面白い呼び名
英語圏では「バルボスレッグ」とも呼ばれているブルボーズレッグですが、イタリア・フランス・オランダ・イギリスでは「メロンバルブレッグ」「カップ・アンド・カバーレッグ」「パイナップルレッグ」等、面白い呼び名で呼ばれてることもありました。

ブルボーズレッグは「流行」デザインから「アンティーク」デザインへ

ブルボーズレッグ イギリス

ジャコビアン期以降は、新古典主義の前兆的様式である軽快優美なロココ様式が優勢となったため、ブルボーズレッグは廃れ始めます。しかし、その重厚さに対する需要から、19世紀以後のヴィクトリア様式などの折衷主義や、復古様式によって再び注目を浴びることになります。
また、20世紀初期にはアールデコ様式による再構成をへて、現代まで作られる定番のデザインとなりました。

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