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キャプテンズチェアとは

キャプテンズチェア(キャプテンチェア)とは、イギリス発祥の木製椅子「ウィンザーチェア」の一種です。ローバックチェアと呼ばれる背もたれの低い型で、笠木(背上の横板)と肘掛がU字の曲木で水平に一体化される等の特徴を有します。19世紀頃にアメリカで誕生して世界に広まり、丈夫さや使い勝手の良さで今も愛用される定番品になりました。

キャプテンズチェアのはじまり

「キャプテン」の名は、船の船長室で用いられたことにちなむとされます。19世紀前期からイギリスの店舗や公共施設等で大流行した、ローバックチェアの主流種「スモーカーズボウ」に影響されたとみられ、アメリカで誕生後イギリスに逆輸入され、その後、定番化しました。日本でも、20世紀中頃に数多く作られ、国外への輸出もされます。
簡素ながら、普遍的ともいえる美しい姿をもち、頑丈で座り心地や価格にも優れ、公私様々な場所で長く利用されました。20世紀後半以降は他の椅子にその座を奪われますが、その後も趣と実用性を備えた庶民的家具として愛され、また注目され続けています。

「キャプテンズチェア」の呼び名、定義はあいまい

尻形の窪みがある座板に挽物(旋盤加工)の脚や背棒が差し込まれるウィンザーチェア特有の構造を有し、広く四角い座の背棒上に肘と笠木が一体化したU字の曲木、その奥上に低い背もたれ(カラー)が付きます。
本来は肘先が湾曲して座と接するものを指しましたが、その後、姿が似る「スモーカーズボウ」や「ファイヤーハウスウィンザー」との呼び分けが曖昧となり、現在ではキャンプ用のパイプ椅子にまでその名が使われています。

キャプテンズチェアの歴史

キャプテンズチェアのルーツ「ウィンザーチェア」とは?

原形は英国の地方家具 キャプテンズチェアは、17世紀後半頃にイギリス中南部の農家等で使われ始めたとされる地方家具ウィンザーチェアを源とします。農民や職人が手がけたそれは、主に3脚のアームチェア(肘掛型)で、半円形の厚い座に背棒(スティック)と脚がつく簡素なものながら、のちの派生や発展の基となる基本構造を備えていました。

「ウィンザー」の名は、ロンドン西郊のウィンザー方面から市街へ輸入されたことにちなむとする説が有力で、脚と背が別という特徴がその定義にもなっています。当初は背棒上に笠木が付く初期型の「コムバック(櫛形背)」が使われ、18世紀半ばに曲木背枠で強度を高めた「ボウバック(弓形背。フープバック)」が登場し、それらを基に発展しました。

キャプテンズチェアのデザインに繋がるシリーズの登場

18世紀半ばには背棒が扇形に開く「ファンバック」型のコムバックがウィンザーチェアの主流となり、H形の貫(ぬき。補強横木)や四角・台形の座も現れ、共々キャプテンズチェアへの発展を準備します。また、1720年代には当時のイギリスの植民地アメリカにもウィンザーチェアが伝わり、そこでの独自の進化と発展も始まりました。

一方、18世紀半ばには曲木を使ったボウバックが現れ、安さと丈夫さで広範に普及し、同世紀末には主流となります。これにより、大量生産され様々な場所で気安く使われることとなるローバックチェアの誕生と、その隆盛の道が開かれます。なお、この頃似た名称の「キャプテンクックチェア」が現れますが、ハイバック系で直接の関係はありません。

ウィンザーチェアは最盛期を迎える

19世紀に入ると、生産性の良い手すり子形挽物による「バラスターレッグ」やH形の貫が主流になり、それらを用いたローバックチェア「スモーカーズボウ」が登場します。それは、産業革命の進展による工業化や都市化等を背景に広範で使われ、大流行しました。そして、人口増や用途拡大等もあり、英国において椅子の主流を成していた各種ウィンザーチェアは、最盛期を迎えます。

アメリカン・ウィンザーチェアの生産が始まる

一方アメリカでは18世紀前半にウィンザーチェアの生産が始まり、世紀後半には欧州に輸出するほどとなります。
当初は英国製品の模倣から始まりましたが、次第に現地事情に合わせて発展し、独自のアメリカン・ウィンザーチェアを形成します。
19世紀半ばにはスモーカーズボウに似た「ファイヤーハウスウィンザー」が現れ、英国にも輸出されました。

キャプテンズチェアの登場

そしてここで遂にキャプテンズチェアが出現します。当初はミシシッピ川の蒸気船や大西洋岸の定期船の船長室で使われていたとされますが、世紀後半には同じく英国に輸出されるようになります。

北欧・日本での人気に支えられ、ウィンザーチェアのデザインは存続

20世紀後半以降は他のウィンザーチェアと同じく、パイプ椅子等の普及によりキャプテンズチェアの需要も下がり始めます。しかし、実用性と工芸価値を持つウィンザー家具は北欧や日本等で注目され、新たに意匠や製品を創造する「リデザイン」の動きを生みました。
著名デザイナーによる優れた製品が数多く創作され、今に継承されます。

英国の「民芸椅子」として、今もなお愛され続ける存在に

特に日本では、用の美を尊ぶ「民芸運動」と結びつき、その影響下、多くのウィンザー家具が模造されました。それは品質や価格に優れ、アメリカへも大量に輸出されます。なかでもキャプテンズチェアが最も人気を博し、輸出が衰えたあとも定番品として存続しました。また、本場アメリカでも生産が続けられ、その取り回しの良さや座り心地、そして控えめな趣を今も愛する人々の需要に応えています。

キャプテンズチェアの特徴(種類・地域特徴・各部形状・材料・仕上げ)

キャプテンズチェアは、本来肘先が湾曲し座と接するものを指しましたが、その後、同系椅子間での呼び分けが曖昧となりました。
現在、同名で呼ばれるローバックチェアの種類には、肘先が手を置くために広くされた「スモーカーズボウ」、肘が短く貫が箱形風(ボックスストレッチャー)の「ファイヤーハウスウィンザー」、脚が長く足置や転落防止木を備えた子供用の「ハイチェア」等があり、類似のものには、座や背に革張りのクッションが付けられた「キャプテンズ・オフィスチェア」や背がロココ様式的曲線により優雅に盛り上がった「バージェーボウ」等があります。

生産国によるデザインの違い

アメリカのものはイギリスに比べ、座が厚い、脚が外に広がり気味等があります。

貫(ぬき)の形

くびれや輪・玉加工が施された「バラスター棒」を用いたH形や中棒2本のダブルH形、前後左右で囲う箱形等があります。

脚の形

「バラスターレッグ」を主として用い、下側外に向かって開くように取り付けられます。

材料

ビーチ(ブナ)、アッシュ(タモ)、ユー(イチイ)、エルム(ニレ)等があり、アメリカではメープル、ヒッコリー、オーク(ナラ)、ポプラ、パイン等が使われ、
表面の仕上げには、褐色やこげ茶等が多いほか、木地の色を活かした白木的なものなどもあります。

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