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シェーズロングとは

シェーズロングとは、足を伸ばして座ることや寝ることが出来る座面の長い休息用の寝椅子です。端部の背もたれや座にクッションがある布張安楽長椅子の一種で、現代ではデイベッド等と同義的となっていますが、比較的小ぶりのものを指す傾向があります。17世紀初期にフランスで原形が発生し、18世紀以降西洋で流行したのち世界に広まりました。

シェーズロングとはどんなもの?

シェーズロングの始まり

シェーズとはフランス語で「肘無椅子」、ロングは「長い」を意味し、まさしく長椅子を指します。17世紀初期にフランスに現れた、王侯貴族が寝台近くで談話を楽しむために用いたデイベッドを原形とし、18世紀半ばに休息用の寝椅子「シェーズロング」として人気を博しました。しかし、その後デイベッドやカウチ等との違いが曖昧化し混同されます。

近代~現代のシェーズロング

そして19世紀の中流階級の成長や英国での発達を経て世界に広まります。現在でも、その快適性やデザイン性への人気は衰えず、また新素材等を用いた新たな形態も開発されなど、伝統的な製品共々多くの人々に愛用されています。

現在、シェーズロングの形態は多様ですが、基本的なものはゴンドラ型とも呼ばれる湾曲した背と肘があり、長い座面が付くものです。その骨格は木材で作られますが、枠や脚以外は全て布張りが施され、座の上には厚いクッションも置かれます。また、華麗なフランスのサロン文化から生じたため、優美な形態や意匠を持つものも多いです。

シェーズロングの歴史

シェーズロングとはソファ?それともベット?

シェーズロングの原形である寝椅子「デイベッド」は、同系統とされるカウチやソファ同様、古代エジプトに源があると考えられています。そして、エジプトの影響を受けたとみられる古代ギリシャの「クリーネ」や同ローマの「レクタス」という寝椅子が西洋にも現れ、シェーズロングの直接の祖となりました。

17世紀、絶対王政により国力を増したフランスは、西洋文化の中心となり、華麗な宮廷文化が花開き、家具も発達します。そして、1725年から同30年頃、デイベッドが現れました。王侯貴族の寝室用寝椅子として使われたそれは、端部が枕状に高くなった古代風のもので、「リ・ド・ルポ(休息寝台)」や「リ・ド・ジュール(寝椅子)」と呼ばれました。

なお、元は同国でベッドを意味した同類のカウチもデイベッドを原形とし、ソファは布張りのトルコ風ベンチに対して1680年頃に名が使われ始めます。これらの登場にはルネサンスやバロック文化の影響による古代趣味や本格的な椅子張り技術の出現、快適な生活への志向等が影響したとされます。そして、王朝間の交流により西洋各国にも伝わりました。

シェーズロングとサロン文化

1715年にフランスで摂政体制が始まると、これまでの儀礼的傾向から自由で寛いだ社交文化が起こります。貴族達は小部屋での集い「サロン」を楽しみ始め、そこで使われる家具も部屋の規模や催しに応じて小型化され種類も増えました。シェーズロング等の寝椅子も同様の特徴や曲線脚(カブリオレ。猫脚)等を備え始めます。

1723年にルイ15世が成人すると更に寛ぎ志向が強まり、サロンの内装や家具もそれに適う軽快華麗なロココ様式で作られるようになりました。
家具も曲線主体の特徴が完備され、意匠と快適性の調和が完成。シェーズロングも優雅な姿や快適性が追求され、ゴンドラ型の背をもつ代表的形態の一つ「デュシェズ(公爵夫人)」が作られると共に、他の寝椅子との形態や名称の区別が曖昧化し始めます。

また足台等が分離できる「デュシェズ・ブリゼ」も流行しました。そして1774年にルイ16世が即位する頃には、直線的な意匠を特徴とする新古典主義の時代となり、シェーズロング等にも影響します。家具先進国フランスの新様式は、ロココ同様各国に伝播。革命後の19世紀初期には両端に背がある古代風の「レカミエ」や片方の肘掛が長い「メリディエンヌ」が流行し、共に代表的形態の一つとなりました。

イギリスでのシェーズロング

一方イギリスでは17世紀半ばにフランスの影響によるデイベッドが登場。それは肘無椅子を延長した簡素な形状で、クッション付の豪華なものは世紀末に現れます。18世紀には海外進出や産業革命により富裕層が増え、サロン文化が隆盛し家具や内装が発達。世紀初めにソファ、世紀末にはシェーズロングの名称が使われ始めました。また、世紀後半には家具師チッペンデールによるロココや建築家アダムによる新古典主義風等の良質な寝椅子等が作られ、近代家具の先駆けとなります。
19世紀初期には片肘付で背の端が巻かれた姿の古代風意匠が流行し、代表的形態の一つに。世紀後半のビクトリア様式期には、中流階級の成長でサロン文化が庶民に広がりシェーズロング等が世界に広がる契機となり、サロン文化が復活したフランスにも影響を与えました。そして、クッションへのスプリングやボタン締めの使用、脚の房飾り(フリンジ)が流行します。

コルビジェ・カッシーナなど、現代でもフィーチャーされ続けるシェーズロング

20世紀以降は古い様式の復刻や様式を折衷したもの、また新しい素材や技術、意匠を採用したシェーズロングが作られます。特に建築家ル・コルビジェの「LC4」等、著名デザイナーによる名品も作られ、新旧併せ様々な場所・場面で活用されています。

シェーズロングの特徴(形状・様式・装飾・模様・材料)

他の寝椅子同様、華やかなサロン文化に育まれてきたシェーズロング。人々に寛ぎを提供してきたほか、華麗なその姿は部屋を彩るインテリアとしての役割も果たしてきました。

基本的形状

その基本的形状は、脚と座の土台に背や肘が付くもので、クッションは座や背・肘に付くほか、脚以外が全て布張りされるものもあります。背の形状には、単純な四角いものやゴンドラ型、上端が反ったり巻いたりする古典主義型等があります。

脚の形状

脚の形状には、円柱、角柱、猫脚、サーベル形、挽物装飾付等があるほか、脚先にキャスターが付く場合があり、脚数は一体型の場合4本から8本程あります。

意匠の様式

意匠の様式には、バロック、ジャコビアン、ウイリアムアンドメアリー、コロニアル、ロココ、クイーンアン、チッペンデール、アダム、新古典主義、折衷主義、復古、アールヌーボー、アールデコ、その他現代様式等があり、彫刻装飾は脚や座、背等に施され、それらにはルネサンスやバロック様式の影響による古代ギリシャやローマ由来のものが多く、模様も同じく、貝、アカンサスの葉、ロゼット(花紋)、唐草、渦巻、幾何学模様等があります。

彫刻以外の装飾

また彫刻以外の装飾には、寄木細工(マルケトリー)や象嵌(インレイ)、板貼り(ベニアリング)、金箔貼り(ギルディング)、着色等があり、材料には、ウォールナット、ビーチ(ブナ)、ローズウッド(紫檀)、マホガニー、オーク(ナラ)等のほか、クッション用の織物や皮革、籐、藁、羽毛等があります。

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