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コモードとは

コモード(コモド)とは、数段の引き出しや戸棚等を備えた小型の西洋タンスです。装飾性に富む華やかな外観を持ち、花瓶や置物が飾れる大理石や磁器製の天板を備えるなど、主に室内の装飾用に使われます。17世紀末にフランスで発生したとされ、18世紀に同国の上流社会で流行して西洋各国に広まり、近代以降、一般化して世界に広まりました。

コモードの特徴

現在、コモードの形態は多様ですが、基本的なものは横長で高さが低く、四隅の框(かまち。縦柱)の下に短めの脚が続き、天板に大理石や磁器等の厚板を備えたものです。また、華麗なフランスの宮廷文化から生じ、繊細なサロン文化で育ったため、豪華な装飾や優美な形態・意匠を持つものが多く、そこに用いられる技法も高度で多様です。

コモードはドレッサーとしての役割も

フランスの絶対王政絶頂期、そして宮廷文化が華やかなルイ14世期の17世紀末に、宮殿や邸宅内の窓間の壁際を飾る装飾用として出現しました。やがてそれは、上方に掛けられた壁鏡とセットを成し、ドレッサー(化粧台)の役割も果たします。18世紀には、隆盛したサロン文化の中心的家具となり上流階級で流行し、多彩な作品が数多く作られました。

長く庶民とは無縁の高級家具でしたが、一般化したのちは比較的シンプルなもの、安価なものも作られるようになりました。アンティーク品を含む、現代まで続くそうした需要と人気の背景には、タンスとの兼用型のためスペースの節約に便利という実用性や、暮らしへの華やぎの添加という、コモードならではの合理的特性の影響が考えられます。

コモードの名前の由来

コモードの名称は、「便利な」という意味のラテン語が語源とされます。当初は別の名で呼ばれていたともされ、18世紀以降コモードと呼ばれるようになりました。英語ではトイレや便器を指す名称でもありますが、それは昔イギリスで室内用便器の収納を備えたナイトテーブルが、フランス生まれの優雅なコモードに似せて作られたことによります。

コモードの歴史

コモードのはじまり

コモードをタンス(チェスト)の一種とすると古代ギリシャの蓋付収納箱「キボトス」、戸棚(キャビネット)とすると古代ローマの大理石製戸棚が起源となります。その後、西洋社会でそれぞれ進化を遂げ、17世紀の家具発展期を迎えました。特にフランスは太陽王ルイ14世の下で独自のバロック文化を開花させ、家具先進国となっていました。
14世は王権と国威を示すために絢爛豪華なベルサイユ宮殿の改築を行ない、荘重厳格なフランスバロック様式を確立。その流れのなか17世紀末にコモードが現れます。それは王室家具師ブールらによって手がけられ、寄木細工や化粧貼り・金貼りブロンズ・大理石天板等による装飾が施された豪華なもので、1708年に離宮用に作られたブールの名品一対が現存します。そして、王朝間の交流により、コモードは西洋各国に伝わることとなります。

ロココ様式におけるコモード

18世紀に入るとコモードの名称が使われ始め、壁鏡の下にコモードを置き化粧ダンスとする組み合わせも現れます。そしてルイ14世が1715年に亡くなると、これまでの儀礼的傾向から自由で寛いだ社交文化が発生。貴族達は私的な小部屋での集い「サロン」を楽しみ始め、そこで使われる家具も部屋や催しに応じて小型化され種類も増えます。コモードも小型化し、繊細な曲線脚(カブリオレ。猫脚)を備えました。
1723年にルイ15世の親政が始まると更に寛ぎ志向が強まり、サロン家具もそれに適う軽快華麗なロココ様式で作られるようになります。コモードも曲線主体の優雅な形態や装飾が追求され、膝への貝や葉の彫刻等、今に知られるイメージが完成されます。またブールの弟子エーバンが活躍し、東洋の蒔絵家具の部材利用や意匠模倣も行なわれました。

新古典主義とコモード

18世紀後期のルイ16世紀期には、直線的意匠を特徴とする新古典主義の時代となり、脚が直線化するなど、コモードにも影響します。家具先進地フランスの新様式はロココ同様、各国に伝播。革命後のディレクトワール様式期には彫刻装飾を排した化粧貼りとブロンズ表装による比較的単純な意匠となり、その後のアンピール様式期には縦框にカリアティード(立像)を付け大型の引き出しを備える、更に単純で重厚な意匠となりました。

コモードはイギリスでも発展

一方イギリスでも経済発展やフランスの影響により18世紀以降サロン文化と共にコモードの流行がスタート。世紀後半には家具師チッペンデールによるロココや、建築家アダム・家具師ヘップルホワイトによる新古典主義風等の良質な作品が作られました。特にサテンウッドの化粧貼りにメダリオンの寄木模様を持つアダムらの印象的な半円形コモードは内外に影響を与えます。
そして、19世紀後半のビクトリア様式期には、中流階級の成長によりサロン文化が庶民に広がり、コモードが世界に広がる契機となりました。

アンティークコモードとして現在も愛用される家具に

その後も様々な様式の影響を受け、20世紀以降は古い様式の復刻や様式を折衷したもの、また新しい素材や技術、意匠を採用したコモードが作られます。現在では比較的装飾が少ないためチェストやキャビネットと混同されることもありますが、新しいものはその実用性、アンティークは存在感により、多くの人々に愛用されています。

コモードの特徴(形状・様式・装飾・模様・材料・類似家具)

形状

コモードの形状は無数にありますが、大別すると断面が長方形で脚が平行に付くものと、半円形や台形で前脚の間隔が狭いものがあります。
それぞれ前板や側板が湾曲形や凹凸形になったもの、下部に波形の幕板が付くものもあり、引き出しの数は2段から4段程で、1段に1個か2個、またはその混在等もあります。扉には両開きや片開きのほか、引き出しとの混在もあり、また両端等に開放棚が付くものなどもあります。

脚の形状

脚の形状には、円柱、角柱、円錐、角錐、獣脚、猫脚、サーベル形、挽物装飾付等があります。

意匠の様式

意匠の様式には、バロック、レジャンス、ロココ、チッペンデール、アダム、ヘップルホワイト、新古典主義、ディレクトワール、アンピール、折衷主義、復古、アールヌーボー、アールデコ、その他現代様式等があります。彫刻装飾は脚や前板、側板等に施され、それらにはルネサンスやバロック様式の影響による古代ギリシャやローマ由来のものが多く、模様も同じく、貝殻、アカンサスの葉、花、人物、グロテスク面、メダリオン、唐草、渦巻、幾何学模様等があります。また彫刻以外の装飾には、寄木細工(マルケトリー)や象嵌(インレイ)、板貼り(ベニアリング)、金箔貼り(ギルディング)、漆塗り、着色等があります。

材料

材料には、オーク(ナラ)、ウォールナット、サテンウッド、ローズウッド(紫檀)、マホガニー、エボニー(黒檀)等のほか、金属や大理石・磁器等があります。なお類似の家具には、上部に鏡が付くドレッシングコモドや装飾卓コンソールテーブルに引き出しが付くもの等があります。

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