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コモードとは


コモード(コモド)とは、複数の引き出しを備えたフレンチスタイルもしくフランス製の小型チェストのこと。
装飾性に富む華やかな外観が特徴で、応接間や玄関ホール、寝室といった室内インテリアのために用いられました。17世紀末のフランスで登場したとされ、18世紀のサロン文化の流行がきっかけで西洋各国に広まったのち、19世紀の近代以降、世界中に伝わりました。

コモードの特徴

コモードの特徴は、作られた時代や国によってばらつきがありますが、大きく分けて3つあります。

一つ目:横に長い長方形であること

一つ目は、横に長く、横幅よりも短い高さに設計されていることです。コモードは、収納だけでなく室内のインテリア装飾も目的として作られているため、天板の上に花瓶や燭台、ランプなどが置けるように背丈が低めの長方形に作られています。コモードは壁際に設置されることが多く、壁の上部には鏡や絵画を設置するなどして、インテリアを楽しみました。

二つ目:引き出しが2段以上あること

二つ目は、引き出しが2~3段取り付けられていることです。引き出しの数は基本的に2段から4段ほど備え付けられ、1段につき1つ、または複数のサイズの引き出しが付いています。ちなみにコモードには、引き出しタイプのほか、扉がつけられたタイプもあり、両開きや片開きの戸が取り付けられています。なお、引き出しが1段のみの家具は「コンソールテーブル」に分類されることがあります。

三つ目:装飾性に富むこと

そして3つ目は、華やかな装飾が施されていることです。コモードは上流階級の間で流行したサロン文化の中で育まれた性格上、実用性そのものよりも華やかな見た目を重要視する傾向にありました。豪華絢爛な外観には、その当時の面影がいくつも隠されています。例えば、天板に大理石や磁器などの高級素材を使われていたり、精巧な彫刻や金箔といった華やかな装飾が施されていたりなどがあげられます。また、エレガントさや気品が意識され、曲線的なシルエットもコモードならではの特徴的です。

脚の形状

コモードの脚の形状には、円柱、角柱、円錐、角錐、獣脚、猫脚(カブリオールレッグ)、サーベル形、挽物装飾(ロクロを回転して木を加工すること)などがあります。

材料

コモードに使われた材料には、オーク(ナラ)、ウォールナット、サテンウッド、ローズウッド(紫檀)、マホガニー、エボニー(黒檀)といった木材のほか、金属や大理石・磁器なども使われました。

コモードの歴史

コモードのはじまり

コモードの歴史は古く、さかのぼること17世紀末から18世紀にかけてのフランスではじまりました。当時のフランス国王、ルイ14世から絶大な信頼を寄せられていた高級家具職人、アンドレ・シャルルブールによって生み出されとされています。

当時、独自のバロック様式文化で家具の先進国となっていたフランス。ルイ14世は国王としての威厳をさらに示すため、アンドレ・シャルルブールに芸術性に富んだ高級家具を次々に作らせました。コモードもその一つで、ルイ14世の寝室用に作られた収納家具が原型とされています。

コモードはとかく装飾性に富み、緻密な彫刻、寄木細工や金貼りを義施したリ、ときにはブロンズ・大理石など、高級素材をも贅沢に使うなど、極めて豪華な調度品として、ヨーロッパ諸国の注目を集めます。その後18世紀後半になると、コモードは王朝間の交流やサロン文化の繁栄によって広まりはじめ、西洋各国に伝わっていきました。

ドレッサーの原点になったコモード

18世紀半ばにロココ様式が台頭すると、コモードは身分の高い女性が身支度する部屋でも定番の家具としてしばしば好まれるようになります。壁鏡の下にコモードを置き、現在でいうドレッサーのような家具として使われたのでした。その後も、コモードは上流階級が使う家具として認識され、長く庶民とは無縁の高級家具でしたが、近代以降、大量生産が可能になると安価なものも作られるようになります。同時に、鏡とチェストを合わせた「ドレッシングチェスト」と呼ばれる家具も登場しました。宮廷家具として生まれたコモードは、時代が進むにつれて一般庶民向けに利便性を向上させたデザインへ変化を経て、広く普及していくのでした。

ドレッシングチェストについてもっと詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典『ドレッシングチェスト』ページはこちら

現代のコモード


コモードは現在でも、収納として実用性のある家具としてはもちろんのこと、室内に華やぎを足してくれる存在として人気が高い家具です。特に、18世紀~20世紀初頭までに作られたアンティークコモードや、もしくはこれらを模したリプロダクト製品のコモードは、その高い芸術性から観賞用としても優れており、今なお世界中の愛好家から注目されています。

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