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コンソールチェストとは


コンソールチェストとは、西洋タンスの一つで、低めの高さと狭い奥行きで設計され、引き出しと飾り棚用の厚い天板を備えた収納家具のことを指します。
装飾用のテーブル「コンソールテーブル」から派生した家具とされ、16~17世紀ごろのヨーロッパにおけるバロック期に原型が誕生し、18世紀のロココ期で現在に伝わる形が確立されたと考えられています。華やかな意匠や彫刻などの見て楽しめる芸術的な要素と、収納としての実用的な要素を兼ね備えているのが特徴です。

コンソールチェストの特徴


コンソールチェストは、作られた年代や国によって多少ばらつきがありますが、基本的には3つの特徴で形成されています。

一つ目は、低めの高さと狭い奥行きで設計されていること。もともとコンソールチェストは、壁に取り付けて使う飾り棚用のテーブル「コンソールテーブル」から派生した家具とされ、収納性よりもインテリア装飾としての役割が期待されています。そのため収納がメインのチェストやワードローブといった家具と比べると、花瓶やオブジェなどが置ける低めの高さに設計されており、また室内の導線が遮られないように奥行きが狭くなっています。

二つ目は、収納用の引き出しと飾り棚用の厚い天板を備えていることです。先にも触れた通り、コンソールチェストはコンソールテーブルから派生した家具。そのため飾り棚としての要素である厚い天板はそのままに、1段~3段ほどの引き出しが取り付けられています。
天板に使われた素材には、木製のほか大理石など、高級素材が使われました。引き出しも意匠を凝らしたものが多く、彫刻のほか引手や持ち手、ツマミの部分を精巧に加工して華やかさを演出しました。

そして三つめは、脚が長く設計されていることです。コンソールチェストは、コンソールテーブルの外観を引き継いているため、ほかのカテゴリーのチェストに比べると脚が長く設計されています。脚の長さが占める割合は、背丈の半分から三分の一ほどにもなり、脚部のデザインはコンソールチェストの印象を決める重要な役割も担っていました。
ちなみにコンソールチェストのタイプによって、脚の本数も変わりました。自立する4脚または3脚タイプ、壁面に固定する1脚または脚タイプがあり、好みの内装や目的によって使い分けられたと推測されます。コンソールチェストは、玄関ホールや広間で使われることも多く、華やかな意匠のコンソールチェストは、その邸宅の印象付けたアイテムといっても過言ではないでしょう。

天板の形状

コンソールチェストの天板には、長方形、半円形、楕円形、台形のほか、それらにバロック様式の要素を取り入れた波型に加工されたものなどがあります。

様式・脚の形状


コンソールチェストの脚の形状には、円柱、角柱、猫脚、円錐、角錐形などがあります。ちなみに猫脚(カブリオールレッグ)の脚先には、中国の龍を模したとされる「ボール・アンド・クロー(玉を掴む爪)」や獣の足を模した「パッドフット」のほか、渦巻きやゴルフクラブ状(クラブフット)など、さまざまなデザインが用いられました。

材料

コンソールチェストも使われた材料には、オーク(ナラ)、ウォールナット(クルミ)、マホガニー、サテンウッドなどの木材のほか、大理石、青銅、真鍮などの異素材も使われました。
また、表面の仕上げには、金箔貼りや着色のほか、艶出しのためにオイルを使うこともありました。

コンソールチェストの歴史

コンソールチェストのはじまり

コンソールチェストのはっきりとした起源は定かではありませんが、16世紀末から17世紀のイタリアとフランスで登場したとされています。飾り用のテーブル「コンソールテーブル」から派生した家具とみられ、16世紀末から17世紀初頭のイタリアでは、コンソールテーブルに引き出し取り付けた家具が使われていたとされます。

一方フランスでは、17世紀後半のルイ14世様式が台頭すると、宮廷家具と呼ばれる豪華な家具が登場します。広間や玄関ホールには鏡が設置され、その鏡にあわせる飾り棚として、コンソールチェストに似た家具が使われていました。

これらの家具がコンソールチェストの原型とされ、18世紀半ばのフランスにおけるロココ様式のころ、現在に伝わるようなコンソールチェストが確立されました。

コンソールテーブルについてもっと詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典『コンソールテーブル』ページはこちら

サロン文化が育んだコンソールチェスト

18世紀初期、フランス国王ルイ14世が亡くなると、それまでの主流だった厳格で儀礼的なバロック様式に変わり、自由で開放的なロココ様式が登場します。貴族をはじめとする上流階級のあいだでは、各界の著名人との交流を目的とした集いサロン文化が流行しました。サロンで使われる部屋の豪華な内装や家具は、一種のステータス的要素もあり、サロン文化によってあらゆる家具職人が芸術性と高い技術力を養いました。コンソールチェストは、そんな繁栄のさなかに確立された家具だったのです。

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コンソールチェストとコモードの違いとは?

コンソールチェストと似た家具で、同じく装飾用チェスト「コモード」があります。コモードはフランス語で「整理だんす」を意味し、家具を分類するうえでは、フランス製またはフレンチスタイルの引き出しチェストのことを指します。

両者の外観は非常に似ているため混同されることが多く、現在の家具メーカーやアンティーク販売者次第では一緒くたにされてしまうこともあります。しかし、収納の引き出しが付いているという共通点はあれ、コンソールチェストは飾り棚やテーブルの要素を持っていることに対し、コモードにはそれらの要素は少なく、あくまで収納のための構造に形成されています。また、コンソールチェストの脚は長く設計されているのに対し、コモードの脚は短く作られています。とてもよく似た作りですが、それぞれの特徴を観察してみると、両者の見分けがつくことでしょう。

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