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ドレッシングチェストとは

ドレッシングチェストとは、数段の引き出しがあるタンスの上に鏡が付いた西洋家具で、一般的に「化粧ダンス」と訳されます。18世紀初期にイギリスで発生したとされ、その後西洋各国を経て世界に広まりました。現在「ドレッサー」の名で混同されている、中央に足が入る空間をもつ「ドレッシングテーブル」に比べ収納力に優れることが特徴です。

アンティークの魅力漂うドレッシングチェスト

ドレッシングチェストの始まり

「ドレッシング」は化粧、「チェスト」は箱形の収納家具を意味します。チェストは古代起源の蓋付衣装箱で、16世紀末にイタリアで引き出しが付き「チェスト・オブ・ドロワー」となり、ドレッシングチェストの原形となりました。また17世紀末にフランスに現れた壁際用小型タンス「コモード」とその上に掛けられた壁鏡のセットも原形とみられています。

別名の「ドレッサー」は日本やアメリカ等で使われますが、イギリスでは食器棚を意味する別物です。同じく18世紀にフランスに現れた鏡付テーブル「ドレッシングテーブル」も現在日米等でドレッサーとして扱われ、役割も近いため混同されることが多いですが、厳密には天板下がタンス状のもののみが、ドレッシングチェストと呼べます。

比較的複雑な形状と凝った意匠をもつ化粧専用型のドレッシングテーブルと比べ、ドレッシングチェストは控えめな印象をもつものが多いですが、タンスとの兼用型のためスペースの節約等に便利です。そうした実用性や、部屋を選ばない瀟洒でシンプルな姿により、現代でも人気と需要を保って生産が続けられ、世界中で多くの人々に愛用されています。

ドレッシングチェストの歴史

ドレッシングチェスト、はじまりはまず「チェスト」部分から

化粧品と鏡を収納するための家具は古代エジプトから存在しました。それは箱形で、のちの化粧箱「ドレッシングボックス」の祖となり、ドレッサーの源流の一つとなります。ドレッシングチェストの原形である「チェスト」は、元は横長の蓋付衣装箱で、「コファ(櫃)」と共に古代ギリシャの「キボトス」がその祖とされます。

その後、ゴシック様式期(12-15世紀)での、柱間に薄板を入れる「框組(かまちぐみ)」の採用等を経て、16世紀末にイタリアで引き出しが付いたチェスト・オブ・ドロワーが現れました。それは17世紀に西洋各国に普及し、チェストの主流となります。一方16世紀中頃イタリアで実用的なガラス鏡が生産され始め、室内装飾用の壁鏡として流行しました。

ドレッサーとしてのドレッシングチェストの誕生

そして18世紀初期に壁鏡の下にコモードを置いて化粧ダンスとする組み合わせがフランスに現れ、イギリスではタンスに鏡台を組み合わせた現存最古のドレッシングチェストが現れます。これらの登場には上流階級の化粧習慣の発達のほか、絶対王政や海外拡張等による経済発展や木工技術の進歩、生活様式の多様化、サロン文化隆盛による家具種の増加等が影響したとされます。その後、王朝間の交流により西洋各国にも伝わりました。

一方、元はトイレタリー、トイレテーブル(トイレは洗面や化粧の意)等とも呼ばれたドレッシングテーブルは、17世紀後期のフランスに現れ浴室での洗面や化粧用に使われますが、やがて居室用として発達します。特に18世紀前半の同国ロココ様式期に、曲線を多用した軽快優美な外観に鏡の収納や天板拡張等の機構と豪華な装飾を加えた「プドルーズ」が現れ完成されました。また机の機能を備えた「ボヌール・ド・ジュール」も流行します。

そして18世紀後期には直線的意匠を特徴とする新古典主義の時代となり、ドレッシングチェスト等のドレッサー類にも影響します。家具先進国フランスの新様式はロココ同様各国に伝播。革命後の19世紀初期には新たな古典主義、アンピール様式の影響も受けました。

イギリスにもドレッサーが現れ、ドレッシングチェストも使われるように

イギリスでも18世紀以降、経済発展やフランスの影響等によりサロン文化が隆盛し、ドレッサー類が発達。18世紀後半には家具師チッペンデールによるロココや建築家アダムによる新古典主義風等の良質独自なドレッシングチェスト等が作られ、近代家具の先駆けとなります。
そして19世紀後半のビクトリア様式期には、中流階級の成長でサロン文化が庶民に広がりドレッサー類が世界に広がる契機となり、サロン文化が復活したフランスにも影響を与えました。

ドレッシングチェストはドレッサーとして現代でも人気の家具に

その後も様々な様式の影響を受け、20世紀以降は古い様式の復刻や様式を折衷したもの、また新しい素材や技術、意匠を採用したドレッシングチェストが作られます。現在では共にドレッサーと呼ばれるドレッシングテーブルと混同されることが多いですが、一台二役のその便利な特性により、多くの人々に支持され続けています。

ドレッシングチェストの特徴(形状・様式・装飾・模様・材料・類似家具)

他のドレッサー同様、華やかなサロン文化により発達したドレッシングチェスト。人々の華麗な装いを助けたほか、部屋を彩るインテリアとしての役割も果たしてきました。

基本的形状

その基本的形状は、数段の引き出しがあるタンスの下部四隅に短い脚が付き、上部に角度可変式の鏡が付くものです。その他には天板左右に小さな引き出しがあるものや鏡下に窪みがあるものなどもあり、本体の形状は縦長の四角形が多いですが、北欧等のものには横長のものもあります。また、前板が湾曲形や凹凸形状となったものや下部に波形の幕板が付くもの、上部に拡張式の作業台が付くものもあります。

脚の形状

脚の形状には、円柱、角柱、猫脚、饅頭形、サーベル形、挽物装飾付等があるほか、脚先にキャスターが付く場合があり、鏡の形状には、四角、横長四角、円、楕円、背が高い姿見形、三面鏡等があり、角度は固定式と可変式があるほか収納式等もあります。

意匠の様式

意匠の様式には、クイーンアン、コロニアル、チッペンデール、アダム、新古典主義、アンピール、折衷主義、復古、アールヌーボー、アールデコ、その他現代様式等があり、彫刻装飾は脚や前板、鏡の周囲に施され、それらにはルネサンスやバロック様式の影響による古代ギリシャやローマ由来のものが多く、
模様も同じく、貝、アカンサスの葉、花、唐草、渦巻、幾何学模様等があります。また彫刻以外の装飾には、寄木細工(マルケトリー)や象嵌(インレイ)、板貼り(ベニアリング)、着色等があり、

材料

材料には、オーク(ナラ)、ウォールナット、ビーチ(ブナ)、ローズウッド(紫檀)、マホガニー、チーク等のほか、金属や天板用の大理石等があります。なお、類似の家具には、ドレッシングコモードやボー・ブランメル(男性用)があり、同じドレッシングチェストでも書記や裁縫作業用の拡張天板が付く兼用型もあります。

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