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ゴールドスミスチェアとは


ゴールドスミスチェアとは、イギリスの伝統的な木製椅子「ウィンザーチェア」の一種。18世紀に活躍した劇作家、オリヴァー・ゴールドスミスが愛用した椅子と、それをモデルにして作られた椅子を指します。

「ウィンザーチェア」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

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ゴールドスミスチェアの特徴


ゴールドスミスチェアは、ウィンザーチェアの一種「コムバックチェア(ボウバックチェア)」の構造をベースしたもので、後ろに傾斜したハイバックの背もたれを有しているのが特徴です。後ろに傾斜した座面やハイバックの背もたれが特徴的で、均整のとれた姿や合理的な設計は、近代における椅子製作現場に大きな影響を与えました。

「コムバックチェア」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「コムバックチェア」のページはこちら

ゴールドスミスチェアとコムバックチェア


ゴールドスミスチェアはコムバックチェア(ボウバックチェア)から派生して誕生したデザインです。複数の背棒(スポーク)とトップの笠木から成り立つ背もたれと、厚い座面とハの字に広がった脚を持つという点が共通しています。
また、オリヴァー・ゴールドスミスが愛用した椅子とアーコール社が制作した椅子では若干形状が異なります。
オリヴァー・ゴールドスミスのオリジナルチェアはコムバックチェアのハイバック・アームタイプで、現在では「ダブルボウバック」と呼ばれているデザインに近しい形です。そしてアーコール社が「ゴールドスミスチェア」として作った椅子は、背もたれのスポークが座面から上にかけて集約されてゆき細くなっていく形です。
ウィンザーチェアの基本形であるコムバックチェアは、ゴールドスミスチェアやフープバックチェア、ダブルボウバックチェアなど、背もたれの形状により呼び方が変わります。

ゴールドスミスチェアの歴史


ゴールドスミスチェアのルーツは、18世紀のイギリスで活躍した一人の劇作家が愛用したウィンザーチェアにあります。彼の名は、オリヴァー・ゴールドスミス(1730-1774年)。
彼は、肘かけがついたウィンザーチェアを愛用していました。このウィンザーチェアを彼がいつ頃入手したのかは定かではありませんが、1700~1760年代に作られた椅子だと見られています。彼が1774年に亡くなるまで長らく愛用していたとされ、彼の死後このウィンザーチェアは、遺品としてしばらく友人が所有していました。
その後、友人や親族らの手に渡ったあと、子孫の妻がヴィクトリア&アルバート美術館へ寄贈。以降このウィンザーチェアは、「オリヴァー・ゴールドスミス・ウィンザーチェア」として広く知られるようになったのでした。

そして彼の死から約200年近い歳月を経た20世紀半ば、イギリスの家具メーカーであるアーコール社は「オリヴァー・ゴールドスミス・ウィンザーチェア」をモデルにした椅子を製作。この椅子こそがのちにベストセラーを誇る、「ゴールドスミスチェア」でした。ゴールドスミスチェアは広く親しまれ、やがて日本でも「アーコール社の椅子といえば『ゴールドスミスチェア』」と言われるほどの象徴的な存在になりました。


ゴールドスミスチェアが誇る洗練されたデザインと完成度の高さは、イギリス国内のみならず、北欧諸国やアメリカ、日本の家具メーカーやデザイナーに大きな影響を与え、今に続いています。現在、オリヴァー・ゴールドスミスが亡くなってから約250年の歳月を経ちますが、彼の名とゴールドスミスチェアの人気は、これからも決して衰えることはないでしょう。

ゴールドスミスチェアを日本に広めたアーコール社の存在


日本でも「ゴールドスミスチェア」はとても人気な椅子ですが、その名が広く知れ渡ったのは、アーコール(Ercol)社による功績が最も大きいでしょう。
アーコール社がゴールドスミスチェアを製作したのは、1960~1970年代のこと。軽やかな印象のウィンザーチェアをベースに、ゴールドスミスチェア特有のダイナミックな背もたれが合わさった斬新な姿で、その後アーコール社を黄金期にまで導いたベストセラー商品となったのでした。
また、アーコール社の本場イギリスから遠く離れたところに住む日本人にとっても、アーコール社のゴールドスミスチェア新鮮なものに映りました。アーコール社を筆頭にモダン家具のリバイバルブームがたびたび繰り返された影響もあり、その知名度は一気に上昇。近年では雑誌やメディアがこぞって取り上げるなど、不動の人気を誇っています。ちなみにアーコール社の人気の背景には、日本の住宅は木造建築が主流であったことや、ゆえにインテリアの相性がよかったことも理由にあげられ、日本人にとって非常に親しみやすかったことが多くの支持を集めた理由ともいえるでしょう。

以下のページでは、アーコール(ERCOL)社について詳しく解説しています。もっと深く知りたい!という方はぜひこちらもご覧ください。

⇒「ERCOLってどんなブランド?」のページはこちら

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