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煎茶道具とは

煎茶、玉露、緑茶、抹茶、私たちの身近な存在である「お茶」には多岐に渡る様々な種類があることは周知の事実でしょう。
その多種多様なお茶の種類だけ、道具や作法にも種類があります。
この記事ではお茶の種類の解説や、煎茶道の歴史をご紹介しながら、そこに必要とされた多種多様な道具たちをご紹介していきます。

煎茶道具の名称

煎茶道具は同じ使い方をする道具であっても、流派により呼び名が違う、という特徴があります。
また、名前が同じであっても、別の道具を指す場合もあり、さらに、流派によっては使ったり使わなかったりする道具もあります。

ここでは、最も一般的な呼び名を基本として紹介していきます。
(また、類似する名称があれば、そちらもあわせて記載しています。)

【左上:急須(きゅうす)】一般的な急須と同じ、茶葉を淹れて注ぐためのもの。
【右上:湯さまし】玉露を入れる際に用いられる、お湯を適温まで冷ますための器。
【左下:茶碗(ちゃわん)】小振りな茶碗が用いられる。染付や赤絵、色絵など様々な装飾のものが使われる。
【右下:左 茶托(ちゃたく)】茶碗の下に敷く器。【右 仙媒(せんばい)】茶葉を計る道具。写真は銅製のもの。
煎茶道具

【左:盆(ぼん)】お茶を運ぶためのもの。写真は一文字盆とよばれる種類のもの。
【右:茶櫃(ちゃひつ)】お茶道具一式を入れて置くためのもの。漆塗りのものもある。

一文字盆

【左:建水(けんすい)】器を洗った際に出る水を捨てる為の器。
【中央:水注(すいちゅう)/水指(みずさし)/水滴(すいてき)】手前に必要な水を入れておくための器。
【右:洗瓶(せんびん)】器を洗うための水を貯めておく薬缶(やかん)。

水柱 薬缶

またこれら以外にも、
【茶具褥(さぐじょく)】手前の際に、煎茶道具の下に敷く布。
【涼炉(りょうろ)】湯を沸かすための小型のコンロのようなもの。
【 火炉(かろ)】鉄瓶などをのせて湯を沸かす道具。中に灰を入れて炭で熱する。
【 火斗(かと)】火の付いた炭を運ぶための器。陶磁器製が多い。
【炉扇(ろせん)】炭を煽ぐうちわ型の道具。
【羽箒(はぼうき)】炉の灰を掃くためのもの。
【炉屏(ろびょう)】手前の際に煎茶道具の奥に建てる、小型の屏風。
【ボーフラ】急須の形をした素焼きの器。火にかけて湯を沸かすのに使う。

※以下、呼び方が異なる道具。「/」以降に他の呼び名を明記しています。
【烏府(うふ)/炭斗(たんとう)、炭取り、筥(きょ)】炉に入れる前の炭を入れておくためのもの。
【火箸(ひばし)/火筋(かちょ)】炉の炭をさわるための火箸。
【罐座(かんざ)/瓶敷(びんしき)】湯を沸かした器を降ろした際に、器の下に敷くもの。
【滓盂(しう)/滓方(しほう)、茶滓入れ(ちゃかすいれ)】淹れた後の茶葉を入れる蓋付きの陶磁器。
【泡瓶(ほうひん)/宝瓶(ほうひん)】取っ手の付いていない小振りの急須。玉露を淹れる際に使う。

などがあります。

上記の煎茶道具についてもっと詳しく知りたい場合には、以下の道具を「RAFUJU MAG 辞典ページ」で紹介しています。

●「水注」/「薬缶
●「茶托

茶道具と煎茶道具の違いとは?

十三代今泉今右衛門 錦橘絵煎茶器

そもそも「茶道具」と「煎茶道具」は何が違うのか? まずは、このことから説明していきたいと思います。
茶道具とはその名のとおり、「茶道」に使う道具で、一般的には粉状の「抹茶」を用います。
一方、煎茶道具も同じく煎茶道に使う道具ですが、用いるお茶は「玉露」や「煎茶」。
つまり、私たちがふだん飲んでいる、いわゆる”茶葉”の状態のお茶を用いる、という大きな違いがあります。

中国から伝来した「お茶」の文化

お茶を気軽に楽しむための「煎茶」

茶道と煎茶道、どちらも中国から伝わりました。
中国も日本でも共通の文化の流れがあり、茶道が形式的な“お作法”として発展していったことに比べ、煎茶は「もっと気軽にお茶を楽しみたい」と思う人たちの間で発展していきました。
日本において煎茶が発展したのは江戸時代と言われており、それに伴って煎茶文化は日本独自の「煎茶道」として広まっていきました。

日本の煎茶文化は、衰えながらも細く長く生き残った

急須 オールドノリタケ

一方で、江戸・明治時代に発展した煎茶文化ですが、当時は西洋からの文化が大量に入ってきた時代でもありました。
そのため、次第に煎茶の人気は薄まり、昭和の前半頃にはかなり縮小したようです。

しかし昭和の半ば頃になると、再び脚光を浴びるようになります。
1956年(昭和31年)には全日本煎茶道連盟が設立し、同連盟には現在でも39の流派が所属、活動を続けています。

骨董品としての価値も高い煎茶道具「唐具」

上記のような背景から、煎茶道が発展した当初の煎茶道具は、中国から伝わってきたものが大半でした。
これらは「唐具」と呼ばれ、大変貴重な骨董品として扱われています。
その後日本製の煎茶道具が普及し、後で示すような多種多様な道具が誕生します。

煎茶と玉露の違い

ノリタケ 急須

茶道と煎茶道の違いを冒頭で紹介したので、お茶の種類や特徴についても、少し触れたいと思います。
そもそも皆さんは、煎茶、玉露、緑茶、抹茶の違いを、ご存知ですか。
緑茶に関しては多くの人がご存知だと思いますが、煎茶と玉露の違いを知らない人は、案外多いのではないでしょうか。

煎茶

煎茶とは、新芽が出てから日光をずっと浴びて育つ緑茶のことです。
日光を遮るのは光合成を行わせないためで、 茶葉は光合成を行うと渋み成分であるカテキンが増加します。

玉露

一方玉露は、新芽が出始めたら、あるいは収穫の3週間ほど前から、葉を布などで覆い日光を遮って育てる緑茶のことです。
逆に日光を遮ると「もっと光を浴びたい」という状態となり、「テアニン」という成分を積極的に出すそうです。
実はこれが、お茶の旨味成分となります。

つまり、玉露は旨味を楽しむ緑茶であり、一方、煎茶は渋みや太陽を浴びて育った爽やかさを感じるお茶、という違いがあるのです。

煎茶と玉露で、道具の違いも

湯冷まし

煎茶道具にも、煎茶と玉露、それぞれ専用の道具があり、玉露専用の道具には、「湯さまし」などがあります。
これは字の通り、沸かしたお湯を適切な温度に下げる為の物。
また、この他にも玉露専用の道具には、宝瓶(ほうひん)と呼ばれる取っ手の無い急須などが挙げられます。

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