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印籠(いんろう)とは

そもそも印籠(いんろう)とはどういうものなのか?

印籠の役割その1:印鑑入れ

印籠は、数段に別れた小箱を縦に重ね、それらを両脇に通した紐で繋ぐことで、段ごとに違う物を入れられるという形状を持つのが印籠の特徴です。初期の印籠は、竹籠で作られており、その名の通り印鑑を入として一段目には印を、二段目には朱肉をいれて使われていました。その後、印籠は木製(漆製)が主流になります。

印籠

印籠の役割その2:薬入れ

携帯箱の普及につれて、印籠は薬を入れるなど現代でいうところのピルケースのような役目も担っていたと考えられています。

印籠 とは

印籠の持ち歩き方

持ち運び方としては、紐、緒締、根付を装着し、腰帯から提げるという持ち方のほかにも、腰に巻いた帯と体の間に入れ込んだり、帯そのものに挟みこんだり、あるいは着物袖の懐部分に入れたりと様々な方法がありました。

おしゃれは細部から。名脇役、根付(ねつけ)

根付

紐の長さが調節できる緒締を通し、さらに腰帯からぶら下げる場合には根付を付けました。なお、根付も煙草入れや印籠と同じく発展を遂げます。素材においては、ツゲ、イチイ、黒檀といった堅い木から象牙まで。大きさは1センチメートルから大きいものでは5センチメートルを超えます。装飾においては彫刻が中心です。
様々な意匠のものがあるため、根付だけを集めているコレクターもいるほどです。

男性は印籠、では女性はというと…?

この印籠を使うのは主に男性でした。女性が当時使っていた男性でいうところの印籠のような携帯箱は、箱迫(はこせこ)と呼ばれるものです。こちらは現代でも婚礼や七五三など和装の礼装をする際に用いられます。
ビロードなどの艶やかな布を使い、鮮やかな赤やピンク色の刺繍や装飾品を施し、まさに女性らしい小物入れと言った意匠のものが多いです。

印籠の種類

印籠 蒔絵

段数は短いものでは2段、長いものでは6段式の印籠があります。形状が長方形が圧倒的に多いですが、正方形、円形、台形などもあります。

蒔絵や螺鈿など、印籠の装飾

蒔絵 螺鈿

素材は木製もしくは金属製のものがほとんどです。漆を塗り、蒔絵や螺鈿(らでん)、沈金や堆朱(ついしゅ)といった漆器づくりの技法がそのまま活かされている作品が多く見られます。

蒔絵や螺鈿などの漆の装飾技法について詳しく知りたい場合は、

こちらの「漆器」のRAFUJU MAG 辞典ページでご紹介しています。

印籠の歴史

江戸時代の頃には、武士、町人など当時の人たちになくてはならない必需品として発達しました。
これには、当時の普段着が着物であり、現在の私たちのように鞄やバッグ、リュックといったいわゆる大きめの物入れのなかった時代背景が、大いに関係しています。そのため使い方も、煙草入れと似たような感覚であったようです。

印籠 骨董品

次第に美術品として人気を博することに

江戸後期になるとこのような実用面に加え、先に紹介したような専門に手がける作り手なども登場し、他の骨董品と同じく嗜好品や美術品としての価値や人気も高まりました。お洒落に敏感な人は服装や出かけ先によって、いくつもの印籠を持っていたようで、まさに現代のバッグやリュックと同じ感覚で使われていたこと想像できます。

持つ人によって好まれるデザインも様々

また、武家の人々と町人とでは印籠の好まれるデザインも異なっていました。武家の人々は縁起の良い物、めでたい物、勇壮な鷹などのモチーフが好まれ、町人には素朴な草花や町人の生活を題材にしたもの、また”洒落”の効いたものが好まれたそうです。

印籠づくりには各界から様々な有名作家が参加した

柴田是真 漆器

柴田是真(しばたぜしん)は主に画家や蒔絵による漆器づくりの作家でしたが、印籠も手掛けていました。
このように、蒔絵師、漆工家の作品にも印籠は数多く見受けられます。現在でも彼らが作った作品の数々が残されています。

印籠づくりに特化した蒔絵の有名作家も存在

また逆に、漆工家あるいは蒔絵師の中には、この印籠づくりを専門に手がける「印籠蒔絵師」なる作家も多く存在しました。

原羊遊斎(はらようゆうさい※「羊遊斎」の銘が一般的)
山田常嘉斎(やまだじょうかさい※初代~8代)
古満寛哉(こまかんさい)
古満巨柳(こまこりゅう)
飯塚桃葉(いいづかとうよう※初代~4代)
塩見政誠(しおみまさなり)

などの作家が有名です。

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