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ロイドルームチェアとは

ロイドルームチェアとは、1917年までにアメリカのマーシャル・B・ロイドが開発した鉄線に紙を巻いて作った人工籐の編地により作られた椅子です。庭椅子として流行したウィッカーチェア(籐編椅子)の耐久性や快適性、着色性、コストを改善するために考案され、その後イギリスで作られたものが著名となり、世界に知られるようになりました。

ロイドルームチェアの特徴

ロイドルームチェアに採用された新素材は、籐や柳などを編んで作るウィッカー家具の軽さや質感等を模しつつ、その欠点の解決を図ったものです。製造を機械で省力化して大量生産を可能にし、比較的手頃な値段で製品を提供することを可能にしました。また、籐にはない防水性や柔軟性、加工性の良さがあり、独自の素材・製品として人気を博します。

椅子としての構造は、ウィッカーチェアと同じくブナ等の曲木を骨格とし、それに人工籐の編地を張ることが基本となっています。籐家具特有の丸みや軽やかさが感じられる優雅な姿と上品な色合いが特徴で、代表的な肘掛型の安楽椅子を始め、肘無型のダイニングチェアやバーカウンター用のスツール、ソファ等があり、それぞれ様々な意匠があります。

ロイドルームチェアは、アンティーク・現行品共に人気

独自の素材・製法による家具は「ロイドルーム」と総称され、現在ではアメリカやイギリス、ベルギー等の企業が所在国やアジアでの生産を行なっています。また骨格をアルミ、紙を化繊に変えた製品も作られています。革新的なロイドルームチェアの実用性や魅力は今なお失われておらず、古い製品もアンティークとして高い価値と人気を誇っています。

ロイドルームチェアの歴史

ロイドルームチェアの原形「ウィッカーチェア」とは?

ロイドルームチェアの原形である「ウィッカーチェア」は、編んだ柳で作られた古代ローマの椅子が起源とされます。
中世には藁編みの椅子が使われ、17世紀半ばには東洋から籐がもたらされ、その編地が椅子の座や背に使われるようになりました。それは18世紀に一旦廃れたあと、同世紀中期に再び流行します。

そして、19世紀初期にヨーロッパとアメリカで、農村の工芸品か東洋の製品が進化する形で、ウィッカーチェアが一般的な屋内外兼用椅子として現れ、流行します。その発端はオーストリアによる農閑期産業としての柳細工への国家支援でした。世紀半ばには籐の芯が材料となり、同国やアメリカで意匠や快適性が改善されたものが現れ、人気を博します。

ロイドルームチェアの誕生

優れた意匠と使い勝手を得たウィッカーチェアは、対候性や軽さの利点もあり、20世紀初頭には庭園や乗物用として西洋各地に普及しました。しかし、その生産工数や費用、耐久性に問題があり、更には第一次世界大戦により材料費と人件費が高騰します。
そこで、当時アメリカでウィッカーの乳母車開発に携わっていたマーシャル・バーンズ・ロイドがその改善に取り組みました。そして試行錯誤の末、紙とワイヤーを使う斬新な方法を考案し、1917年に特許を取得します。籐より強く柔軟なそれは、芯や紙共々防水処理が施され、機械で緻密に織り上げられました。

座り心地とデザイン性でロイドルームチェアは人気に

「ロイドルームウィーブ」と名付けられたその編地は、ウィッカーの欠点を解消し、またフレームと別で製造できるため、様々な意匠展開を可能にし、乳母車や家具に採用されます。こうして、伝統的な姿を保ちつつ使い勝手とデザイン性を向上させたロイドルームチェアはアメリカで急速に普及しました。

イギリスでもロイドルームチェアの生産が始まる

1921年、ロイドルームチェア及びその関連製品の可能性を認めたイギリスのウィリアム・ラスティ社が、英国での生産権を購入し、翌年ロンドンで生産を開始します。欧州での最初の製品「ラスティロイドルーム」の始まりです。
アメリカの最新技術にイギリスの伝統意匠を加えたその家具は、当初庭用として使われ、やがてインテリアとして認められるようになります。一般家庭からホテルやレストラン、客船、飛行船等にまで使われ欧州中で人気を博し、ロイドルームの名を世界的なものにしました。

現在のロイドルームチェア

1940年、ラスティ社の工場が第二次世界大戦の空襲により壊滅します。51年に販売を再開しますが、戦後の経済政策等によりかつての勢いを取り戻すことは出来ませんでした。そして20世紀末にアジアで生産を再開し、2008年に投資家の支援を受けラスティ・ファニチャー社となります。

一方アメリカでは、マーシャル創業のロイド製造会社が生産を続けていましたが、1982年にフランダース社に買収されロイドフランダース社となります。また、ラスティ社の休止中、欧州ではイギリスのスポルティング社やベルギーのヴィンセント・シェパード社等がロイドルームチェアとその関連製品の生産に参入します。
そして2016年にスポルティング社が解散したのちは、同社の従業員らによりロイドルーム・マニュファクチャリング社が作られ、唯一欧州での生産を行なっています。

ロイドルームチェアはアンティーク・現行品ともに、現在でも愛され続ける

時代の変遷にさらされつつもロイドルームチェアは人々に愛され続けます。伝統的なウィッカーチェアから生まれ、意匠性能共にそれを超越した独自の存在となり新たなジャンルを確立しました。現在では現行製品のほか、時を経て味わいを増すアンティーク製品もその耐久性の高さもあって珍重され、共々世界で愛用されています。

ロイドルームチェアの特徴(種類・代表的形状・製法・素材・仕上げ)

一般家庭からウィンブルドンのロイヤルボックスや巨大飛行船ツェッペリン号にまで使われてきたロイドルームチェア。優れた耐久性や快適性、そして時代を超えた優雅さを備え、世界での人気を維持してきました。

種類

その種類には、先ずは肘掛がある休息用のアームチェア型や、それが無いダイニング用のサイドチェア型があり、更に背もたれが高いハイバック型や背もたれのないスツール型、ソファ型等もあります。個別的には様々ものがあり、代表的なものは、肘掛型とソファ型では「フェアバンク」や「バンフォード」、肘無型では「アボット」や「ビストロ」「クランフォード」「エルウッド」「ハドフィールド」等があり、座や背にクッションが付く場合もあります。

代表的・著名な形状

最も代表的・著名な形状は「フェアバンク」で、一体化した背と肘の上部が外側に開きつつ滑らかに湾曲し、後ろ脚も後方外側に反るという優雅な姿が特徴です。

基本的製法

その基本的製法は、防水・防錆(ぼうせい)処理されたワイヤーに同じく防水処理されたクラフト紙を固く巻きつけた人工籐を作り、専用大型織機で「ロイドルームウィーブ」に織りあげ、それをカットしビーチ(ブナ)等の骨格に固定して完成させます。

材料

材料は上述のもののほか、補強用の鉄やアルミ、座面用の革等も使われ、また仕上げには、ロイドルームの特徴の一つである着色性の良さを利用した、様々な色による塗装が行なわれます。

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