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ルイ15世期様式とは

ルイ15世様式の特徴とは?

ルイ15世様式とは、18世紀のブルボン朝後期におけるフランスの文化・芸術の表現形式です。主に絵画・工芸等の装飾美術に対して用いられ、ルイ14世期に完成されたフランス・バロックの壮麗厳格な古典主義様式に代わり、貴族や新富裕層の趣味を反映した非対称構成や曲線・中間色による軽快優美な表現を特徴とし欧州各地の宮廷や市民に広まりました。

宗教教化や王権誇示の為の前様式とは異なる、感覚的かつ洗練された貴族趣味様式で、芸術と生活を融合させる総合芸術的動きもみせます。建築・内装ではボフラン、絵画はヴァトーやブーシェ、家具はエーバン等が活躍し、華麗なセーヴル磁器も作られるなど、18世紀のフランスや欧州を特徴づける様式となり、バロックの爛熟と極致を示しました。

ルイ15世様式、様々な呼ばれ方

装飾題材等の類似から後期バロックの一種ともされ、期間はルイ15世治世の1715年から同74年までとされますが、王が成人する23年までの過渡期は別に「レジャンス(摂政)様式」、王の愛妾ポンパドゥール侯爵夫人が発展に寄与した45年以降は「ポンパドゥール様式」と呼ぶ場合があります。また、それら全てを含め「ロココ様式」とも総称されます。

ルイ15世期の歴史

ルイ15世期様式までの流れ

17世紀後期、イタリア発祥の自由豊麗なバロック様式が古典主義的荘重さを持つフランス・バロック(ルイ14世様式)に結実されます。そして18世紀初期に、軽快さや繊細さが付加され、ルイ15世様式の源となりました。建築家アルドゥアン・マンサールやピエール・ルポートルが設計・改装して1701年に完成したヴェルサイユ宮殿の「牛の眼の窓の間」の装飾がその始まりともされ、その後も明るく軽快な装飾が続けられます。

ルイ15世の摂政期

1715年、ルイ14世が亡くなり、王の甥オルレアン公が、王の幼い曾孫ルイ15世を補佐する摂政時代が始まりました。王権や教権の退潮が始まり、産業発展で台頭した上流市民や貴族らによる軽妙洒脱なサロン文化が勃興し、ルイ15世様式の発展を促します。

1717年にはオップノールがパレ・ロワイヤルに明るい装飾の「楕円形の間」等を製作し、ヴァトーが「シテール島の巡礼」で貴族の日常や感情を繊細甘美に描き「雅宴画(フェート・ギャラント)」を創始、19年にはコットがトゥールーズ館の「黄金の間」の改装を手掛けるなどして「レジャンス(摂政)様式」を代表します。ゆるやかな襞付女性用ローブ「ヴァトー・プリーツ」も流行し、ヴァセやオードランらも室内装飾に新風を吹き込みました。

ルイ15世成人

1723年に王が成人するとルイ15世様式は最盛期へと向かいます。貴族達は邸の快適性を求め、居室の公私が区別され、部屋隅等の曲線や左右非対称の意匠が増えます。ボフランが35年からパリのスービーズ館の「冬の間」等を手がけてロココ装飾の典型を成し、外観は簡素で古典的、内部は華麗なロココ式邸宅を数多く手掛けます。

ポンパドゥール夫人の登場によるルイ15世期様式への影響

1745年、王の公式愛妾となった才色兼備のポンパドゥール夫人は自ら服飾デザインをするなどして活躍し、王同様サロンの主宰として文化的影響力をもちます。また、セーヴル窯を起こし、官能的な「牧歌画(パストラル)」の創始者ブーシェらと共に磁器や織物、舞台等にロココを広めました。その他、裾広スカートが現れ、髪型同様巨大化し、ジェルマンの流麗な金銀細工やメッソニエの多様華麗な家具も作られます。

後期ルイ15世期様式とルイ16世期様式

18世紀中頃になるとポンペイ等の発掘により欧州に古代ブームが起こり、フランスでも古典的風潮が強まりルイ15世様式にも影響します。新世代のスフロらが古典様式の建築を行ない、ガブリエルの改装やルソー兄弟の室内装飾も直線的で理知的な作風に。また、フラゴナールらの絵画も退廃的との非難を受け始めました。

1774年からルイ16世とマリー・アントワネット妃の治世となると、古代のエジプトやギリシャ、ローマの主題が流行するなど古典主義的傾向が強まり、15世様式後期を含め「ルイ16世様式」とも呼ばれます。そして89年、長年の浪費や戦争負担等により王国は革命を招いて崩壊し、宮廷やブルジョワが支えたルイ様式も終焉を迎えることとなりました。

ルイ15世様式の家具

デザインの特徴

ルイ15世期は新しい内装に合わせた家具が現れ、曲線による動的な外観や軽妙さ、ロカイユ(貝や石)装飾、左右非対称意匠、シノワズリー(東洋趣味)導入等を特徴とします。彫刻等の装飾は前代同様古代由来の物が多く、模様には花や花束、花綱、貝、アカンサスの葉、婦人像、動物、渦巻、唐草、怪獣、東洋風物等があります。

家具の種類

家具の種類にはフォトゥーユ(肘掛椅子)、ベルジェール(安楽椅子)、カナペ(長椅子)、デュシェス(寝椅子)、コモード(小箪笥)、ビューロー(書記机)、コンソール(壁面卓)、ダイニングテーブル、ナイトテーブルやゲーム・宝石・化粧・朝食・珈琲用のテーブル、ベッド等があります。

時期ごとの家具デザインの特徴

レジャンス(オルレアン公)様式期の家具

過渡期的スタイルで、小型化が進み、脚部が直線から曲線(カブリオレ。猫脚)に変わり、ウォールナットの化粧張りや鍍金を施す青銅装飾、安楽椅子が使われ始めます。ルイ15世成人期は曲線主体の女性的特徴が完備され意匠的にも完成。豪華化が進み、貝や真鍮の象嵌や寄木、東洋風の漆塗と蒔絵、天板や装飾への陶磁器の使用、鏡や引き出し等への機構導入も行なわれます。
またエーバンが活躍し、寝台が柱式から吊り天蓋式となり、小型ソファや寝椅子が流行しました。

ルイ15世様式に影響を受けた国々

ルイ14世時代に既に欧州文化の中心地となっていたフランス生まれのルイ15世様式は、ほどなくして周辺各国へ波及してゆきます。ドイツやオーストリア、スペイン、ロシア等の宮廷やイギリスやイタリア等の上流社会において、建築や彫刻・家具・陶磁器・絵画・音楽・服飾等が、地域毎の特色を有しながら多様に開花しました。

イタリア

イタリアは後期バロックの延長で曲線や花模様等の豊かな装飾が特徴です。木材は明るい色調で寄木や彫刻・金泥・絵・着色が施され、様々な色柄の大理石や鍍金の青銅金物も使われます。

イギリス

イギリスはアン女王期(1702-14)が軽快さや気品、曲線形態を特徴とした「クイーン・アン様式」と呼ばれ、比較的簡素で機能性重視の家具が作られます。続くジョージ1世期(1714-27)は劇的豪華な意匠へと変化し、脚先の爪が玉を掴む形の猫脚やライオン意匠等が「ジョージアン様式」の初期を特徴づけます。続くジョージ2世期以降は背にリボン装飾が絡む華麗なリボンバックチェア等で知られた名工にちなみ「チッペンデール様式」とも呼ばれ、クイーン・アン風、ゴシック風、ロココ風、中国風の4作風に分けられます。ドイツは独創性に欠くものの優美さや流麗な線が強調され、宮廷用はフランス、市民用はイギリスやオランダ、南部はオーストリアの影響を受けました。

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