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サロンチェアとは

サロンチェアとは、個人宅の居間や客間で、客や家族の懇談・遊戯等に使われる椅子類です。パーラーチェアとも呼ばれ、18世紀にフランスの上流階級で使われ始め、その後イギリスで一般化し、世界に広まりました。取り回しの良い小型軽量の造りと、美観や寛ぎを重視した優雅な姿や座り心地の良さが特徴で、1人掛や長椅子等の様々な形態があります。

サロンチェアとはどんな家具なのか?

サロンチェアの名前の由来、「サロン」とは?

「サロン」とは本来宮殿や邸宅内の一室で行なわれた私的な小集会を意味し、学習や趣味の集い、喫茶、談話等が行なわれました。そうした、内輪的ながら華やいだ雰囲気を楽しむためにサロンチェアが用意されます。サロン文化はその後、中流階級の応接間ドローイングルームや居間パーラー等にも広まり、サロンチェアの多様化・一般化を促しました。

現代のサロンチェア

現在、サロンチェアの形態には様々なものがありますが、伝統的・一般的なものは、フランスのロココ様式に基づく軽快優美な曲線形態や装飾を持つ木製本体に、華やかな布や革を張ったクッション付きの背や座を持つものです。それらは、ダンスやゲーム、演奏会等のための移動に備え、大半が小型かつ軽量に作られました。
サロンチェアはフランス・ルイ王朝の対外交流により西洋各国に普及し、19世紀以後の中流階級の成長と共に世界に広まります。現在ではもてなしの家具としてのほか、暮らしを彩るインテリア、豊かな寛ぎを得られるツールとして、幅広く活用されています。

サロンチェアの歴史

フランスで花咲いたサロンチェア使いの文化

サロンチェアは18世紀初期にフランスで活発化したサロン文化から誕生します。絶対王政により国力を増したルイ14世治下の同国は西洋文化の中心地となり華麗な宮廷文化が花開きました。しかし権威的・形式的な傾向が強く、1715年に王が死去してオルレアン公の摂政体制が始まると、自由でくつろいだ社交文化が起こります。
貴族達は摂政に倣いパリ市内や郊外に小規模で洗練された別宅を構え、ブドワール(夫人部屋)や書斎等での集い「サロン」を楽しみ始めました。そしてそこで使われる家具も部屋の大きさや催しに応じて小型化され種類も増えます。サロンチェアも同様の特徴や曲線脚(カブリオレ。猫脚)等を備え、厚いクッションがつく安楽椅子も使われ始めました。

ロココ様式期とサロンチェア

1723年にルイ15世が成人すると更に寛ぎ志向が強まり、サロンの内装や家具もそれに適う軽快華麗なロココ様式で作られるようになります。特に45年に王の愛妾となったポンパドゥール夫人が王同様サロンの主宰として影響力を持つとその流れは加速。家具も曲線主体の女性的特徴が完備され、意匠と快適性の調和が完成されました。サロンチェアも内装に合う優雅な形態が追求され、豪華な織物が張られるなどして華麗に装飾され、史上最高とされる品質や機能性と今に知られるイメージが完成されます。

新古典主義とサロンチェア

そして1774年にルイ16世の治世が始まる頃には直線的な意匠を特徴とする新古典主義の時代となります。サロンチェアの脚も直線で先細りの挽物(ロクロ細工)となり、フルーティング(縦溝)や螺旋溝等の装飾が施されるようになりました。
そうした、家具先進国フランスの新しい様式は、ロココ同様、王朝の対外交流により西洋各国に伝わり、当地のサロンチェアに多大な影響を与えます。ただ、89年にルイ王朝が革命で崩壊すると、宮廷やブルジョワが支えたフランスのサロン文化も一旦終焉を迎えることとなりました。

イギリスのサロンチェア文化

一方イギリスは1763年にフランスとの植民地戦争に勝利し、経済的余裕を得て富裕層が拡大。フランスの家具が多数導入され、サロン文化が隆盛し家具や内装が発達しました。家具師チッペンデールによるロココ風や建築家アダムによる新古典主義風等のサロンチェアが作られ、多人数用の肘無小椅子が新たに作り出されました。簡素で部屋を選ばないイギリスのサロン家具は、アメリカを始め欧州各国にも影響するようになります。
特に19世紀後半のビクトリア様式期における中流階級の成長は、これまで上流階級の独占物的であったサロン文化を庶民にまで広め、世界に広める契機となりました。サロンチェアはその時代もロココの形態が多く、背枠が風船形となった「バルーンバック」が流行し、長椅子と肘掛椅子、小椅子のセットが一般化します。
また、家族の趣味の場で使われたり、金銭的余裕のない世帯用にダイニングチェア(食堂椅子)との兼用型も作られたりしました。そしてそれらは、サロン文化が復活したフランスにも影響を与えます。

近代のサロンチェアはアンティーク・アイテムとして人気に

その後も様々な様式によるサロンチェアが作られ世界に広まりますが、ロココの形態を基本とする流れは続きます。
そして、20世紀以降は、古い時代の復刻や様々な様式を折衷したもの、また新しい素材や技術、意匠を採用したものも作られ、接客・私用の区別なく、幅広い用途に用いられるようになりました。

サロンチェアの特徴(種類・様式・装飾・模様・材料)

サロンチェアには様々な形態がありますが、その最大の特徴はインテリアとしての存在感を意識したデザイン性の高さと、寛ぎを考慮した安楽性の良さにあります。そのため、ダイニングチェアなどと比べると、意匠の華やかさ、クッションの多さ、背もたれの緩やかさなどが目につきます。また、移動を考慮した小型軽量のものが多いことも特徴です。

種類

その種類には、先ずは肘掛があるアームチェア型や、それが無いサイドチェア型があり、更に背もたれが高いハイバック型や背もたれのないスツール型等もあります。個別的には、フォトゥーユ(肘掛椅子)、ベルジェール(安楽椅子)、マルキーズ(楕円形背安楽椅子)、タブレ(背無椅子)、ヴォワイユーズ(見物椅子)、カナペやセティ(長椅子)、デュシェス(組合せ寝椅子)、シェーズロング(休息寝椅子)、ヴェユーズ(囲み背寝椅子)等があります。
なお、当初は2脚のフォトゥーユと1脚のカナペがテーブルと合わせて最小の組み合わせを構成したとみられ、日本の応接セットに影響したとされます。

意匠の様式

意匠の様式には、ロココを基本として、クイーンアン、チッペンデール、アダム、新古典主義、折衷主義、復古、アールヌーボー、アールデコ、その他現代様式等があります。彫刻装飾は、脚や座、貫(ぬき。脚間横木)、背等に施され、それらにはルネサンスやバロック様式の影響による古代ギリシャやローマ由来のものが多く、模様も同じく貝、アカンサスの葉、ロゼット(花紋)、唐草、渦巻、幾何学模様等があります。

彫刻以外の装飾

彫刻以外の装飾には、寄木細工(マルケトリー)や象嵌(インレイ)、板貼り(ベニアリング)、金箔貼り(ギルディング)、漆塗り、着色等があります。

材料

材料はウォールナット、ブナ、ローズウッド(紫檀)、マホガニー、サテンウッド、オーク(ナラ)等のほか、クッション用の織物や皮革、籐、藁、羽毛等があります。

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