お買い物こちら

キーワード検索

アンティーク辞典アンティーク辞典

シェーカー家具とは

シェーカー家具とは、キリスト教の一派「シェーカー教徒」が、18世紀後期から20世紀半ばまでアメリカで活動した際に生み出した家具です。元来自給用であり、また教義により質素で機能的な造形を好み、集団生活用の様々な家具を生産しました。直線を多用した禁欲的なその意匠は「シェーカー様式」とも呼ばれ、近代家具の先駆的存在となります。

シェーカー家具3つの様式

イギリスから移住したシェーカー教徒は、信仰を中心とする自給自足の生活共同体を設立し、そこで使うシェーカー家具を作り始めました。当初は未熟なものでしたが、職人技を採り入れ、高い水準に達します。その様式は3期に分けられるとされ、最初は18世紀後期から19世紀初期までの未熟で重量感がある「初期シェーカー家具」、次は19世紀初期から半ばまでの高品質で数多く作られた「古典的シェーカー家具」、最後は19世紀後半にビクトリア様式の影響を受けて作られた「ビクトリアンシェーカー家具」となっています。

シェーカー家具の特徴

洗練されたシンプルな機能とデザインの家具

アメリカ北東部の木工品とされ、コロニアル様式を単純化したものでした。シェーカーはそこから更に装飾を除き、機能性や耐久性を向上。そこには、家具だけでなく建築や服飾等を含めた暮らし全体の調和を目指す、彼ら独特の生活様式も影響しました。

20世紀半ばの教団衰微と共に廃れますが、その高度な技や美しい意匠は世界で注目され始めます。シェーカーの精神が生んだ均整のとれた意匠・構造は新旧あらゆる空間に調和し、アンティークとして、または復刻生産の対象として人気を博すようになりました。教団はほぼ消滅しますが、高潔なその精神は造形に宿り、現代に大きな影響を与えたのです。

シェーカー家具の歴史

シェーカー教団の発展

シェーカーの渡米と家具誕生 1774年、天啓によりアメリカへ渡った教祖アン・リーら9人のシェーカー教徒は、早速布教と共同体の設立を開始しました。身体を振る独特の礼拝法(シェイク)をもち共同生活・独身主義・博愛主義等を掲げるプロテスタントの一派、シェーカー教徒は、徐々に信者や土地を獲得し、移住当初の困難な状況を克服し始めます。

機能的で頑丈、「初期シェーカー家具」の登場

共同体に必要な家具は、当初教徒の元私物を使いましたが、1770年代末から教徒自らの手による生産を始めます。これがシェーカー家具の誕生で、共同体の発展・増加と共に発達します。この時期作られた家具は、工具や知識・経験の不足を反映した、素朴な意匠で技術的に未熟なものでしたが、松やカエデ材を多く使った、機能的で頑丈なものでした。

教団の最盛期

1784年に教祖アンが亡くなったのち、ジョゼフ・ミッチャムが教団のリーダーとなり、宗教規則や運営方針をまとめ、教団の組織化を強化します。多くの改宗者が集まり、1800年までに11の共同体で1000人が暮らす成長を遂げ、その後も発展し、19世紀半ばには、18の共同体で6000人が暮らす最盛期を迎えました。

ディテールが繊細に加工された「古典的シェーカー家具」の登場

シェーカー家具の生産も、教団の発展に伴い増加し、1820年頃から60年頃までに黄金期を迎えます。この頃には、初期に入信した木工職人らの技術が定着・発展し、家具の形状も独自のものに完成され、高い水準の製品が作られます。装飾は必要最小限で、軽量化のための面取りや先細り、繊細さを強調するための各部の小型化が巧妙に行なわれました。

教団の解体

しかし、1860年頃から教団は衰退を始めます。それには、アメリカにおける機械工業や大量生産の発達と、都市化等の社会変革、南北戦争(1861-65)による混乱が影響しました。教徒数は1900年には1000人に減少し、1960年までに17の共同体が閉鎖され、現代ではわずか数人が残存するばかりとなりました。

華やかな「ビクトリアン・シェーカー」の登場

シェーカー家具も、南北戦争以降は椅子以外のわずかな家具しか作られなくなります。しかし、一方では1875年頃からの四半世紀に華やかな英国ビクトリア様式に影響された「ビクトリアンシェーカー」が作られます。それはクルミ材が多く使われ、ベッドや机等には濃い着色が施されました。また装飾的で複雑な加工や挽物(ロクロ細工)等も施されます。

その後、教徒によるシェーカー家具は作られなくなりますが、残された作品が注目され、良質な工芸品として収集されるようになりました。また、優れた機能性や普遍的な意匠が北欧家具に影響を与えるなど、現代工芸の発展にも寄与します。その結果、シェーカー家具は再び役割を得、また復刻品が作られるなど、多くの人々に愛されるようになりました。

シェーカー家具の特徴(代表的椅子・種類・地域特徴・材料・仕上げ)

シェーカー教徒にとって家具作りは祈りであり、宗教義務の達成でもありました。そこには「手は労働に心は神に」という教えが根底にあり、シェーカー家具の質の高さや個性の確立に影響しました。
また、高度な工具・機械を擁する作業所での生産体制も整備され、通常は職人教徒、椅子等の量産品・市販品の製造は交代分業制により日々担当されました。

シェーカー家具を特長づける「チェア」のデザイン

最も特徴的な家具は椅子で、挽物による丸棒の脚や貫(ぬき。脚間補強横木)と曲木のスラット(横背板)で構成された「ラダーバックチェア(梯子状背もたれ椅子)」が一般的です。
部材は極端に細く、薄くされており、必要な強度を得るため高度な技術で接合されています。
3枚背板のサイドチェア(肘無椅子)や、同4枚のアームチェア(肘掛椅子)型ロッキングチェアが著名で、椅子以外では楕円の木箱「オーバルボックス」も有名です。

家具の種類

家具の種類は、作業用と居住用に大別され、作業用は厨房や各作業所等における家事や生産に使われ、松材が多く、釘打ちして塗装した簡易なもの、居住用は食堂や居室等で使われ、堅木が多く、高度な職人技が見られるものでした。
それらの数は膨大で、品種も数百に及ぶとされます。その主なものには、
ベッド、ベンチ、木箱、壁面収納、カップボード、キャビネット、椅子、チェスト、時計、コモード(室内便器)、カウンター、ゆりかご、デスク、姿見、ペグやペグボード(掛け具)、ラック(物干し)、スクリーン(衝立)、セティ(長椅子)、棚、スタンド(台)、スツール(背無椅子)、テーブル等があります。

生産地ごとのデザインの特徴

西部の共同体は東部より意匠に重量感があり、曲線が多く、飾り面取りや飾り縁、異材の混用によるコントラスト表出等の装飾が多く見られ、クルミや桜、バターナッツ、ポプラを好んで使う、等があります。

材料

主材に松(ホワイトパイン)が多く、桜やカエデ(メープル)、クルミ等もあり、強度が必要な箇所はカエデ、曲木はアッシュ(タモ)やオーク(ナラ)・ヒッコリー、引手はリンゴや梨、特別な縁取り等には貴重なマホガニーやローズウッドが使われ、その他にはバターナッツや栗・リグナムバイタ(ユソウボク)等もあります。
表面の仕上げは、大半にペイントかステイン着色、ワニスが用いられ、着色には多くの色調の赤やオレンジ、黄、青、茶色等が用いられました。

お買い物はこちら