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スピンドルチェアとは

スピンドルチェア(スピンドルバックウィンザー)とは、イギリスの伝統的木製椅子ウィンザーチェアの一種です。尻形の窪みがある座板に挽物(旋盤加工)の脚や背棒を差し込む同椅子の特徴に加え、厚く幅が広い笠木(背上の横板)や湾曲した背柱を持つ等の特徴を有します。丈夫さや味わい豊かな挽物装飾とそれによる座り心地の良さ等により、19世紀前期から世界で愛用されています。

カントリーチェアを代表するデザイン、「スピンドルチェア」

「スピンドル」の名は、挽物による脚や貫(ぬき。補強横木)、特に背棒が、膨らみをもつ紡錘形(スピンドル)であることにちなみます。
17世紀後半頃イギリスの農家等に現れたウィンザーチェアの初期型「コムバック(櫛形背)」を祖とし、19世紀前期にその復活型として登場しました。
全体的に大ぶりで、H形の貫が使われ、次第にそれが太くなり、中棒2本のダブルH形も使われます。そして同世紀半ばには、紡錘に玉や輪等の挽物飾りを加えた「ローマン・スピンドルウィンザー」が登場し、今に続く姿が完成されました。

他のウィンザーチェア同様、実用性や生産性に優れて人気を博し、20世紀後半以降衰退しますが、カントリーチェアを代表するような簡素ながらも装飾豊かな姿が今も愛され続けています。なお、イギリスでは輪や玉等の装飾がある背棒をスピンドル、無いものをスティックと呼び、アメリカでは旋盤加工された全ての背棒をスピンドルと呼びます。

スピンドルチェアの歴史

「スピンドルチェア」のルーツ、「ウィンザーチェア」のなりたち

原形は英国の地方家具 スピンドルチェアは、17世紀後半頃にイギリス中南部の農家等で使われ始めた地方家具「ウィンザーチェア」を源とします。農民や職人が手がけたそれは、主に3脚のアームチェア(肘掛型)で、半円形の厚い座に、背棒(スティック)と脚がつく簡素なものでしたが、のちの発展や派生に繋がる基本構造を備えていました。

「ウィンザー」の名は、ロンドン西郊のウィンザー方面から市街へ輸入されたことにちなむとする説が有力で、脚と背が別という特徴がその定義にもなっています。

スピンドルチェアの原型、「コムバックチェア」の登場

18世紀半ばには背棒が扇形に開く「ファンバック」型のコムバックがウィンザーチェアの主流となり、H形の貫や四角・台形の座も現れ、共々スピンドルチェアへの発展を準備します。また、1720年代には当時のイギリスの植民地アメリカにもウィンザーチェアが伝わり、そこでの独自の進化と発展も始まりました。

ボウバックチェアの流行

一方、18世紀半ばには曲木を使ったボウバックが現れ、安さと丈夫さで普及し、同世紀末には主流となります。これにより、笠木が緩み易かったコムバックは一旦廃れます。

なお、18世紀の初め、背貫の間にスピンドル背棒が付く「スピンドルバックチェア」が現れますが、非ウィンザー型であり、ウィンザー型スピンドルチェアの同名椅子とは別物です。

ウィンザーチェア最盛期

19世紀に入ると、生産性の良い手すり子形挽物による「バラスターレッグ」やH形の貫が主流となり、それらを用いたローバックチェアが登場し、産業革命進展による工業化や都市化を背景に大流行しました。そして人口増や用途拡大等もあり、英国で椅子の主流を成していた各種ウィンザーチェアは最盛期を迎えます。

スピンドルチェアによってコムバックは復活

その様な状況下の19世紀前半、コムバックがスピンドルチェアとして復活。分厚く、幅も10cm以上が多い笠木と、削り出しの背柱や背当たりの良い膨らみのある背棒が特徴で、その重厚さを支えるためH形の貫等は次第に太くされ、ダブルH貫も使われるようにました。そして世紀半ばには、それまで単純な紡錘形だった背棒に輪等の装飾が入った「ローマン・スピンドルウィンザー」が登場し、挽物装飾が印象的な今日の姿が完成されます。

美しく機能的なデザインは、現代でも愛され続ける

20世紀後半以降は、他のウィンザーチェアと同じく、パイプ椅子等の普及によりスピンドルチェアの需要も下がり始めます。しかし、その座り心地の良さや丈夫さ、そして独特の趣が人々に支持され、今も作られ愛される定番品となりました。

スピンドルチェアの特徴(固有的特徴・種類・各部形状・材料・仕上げ)

スピンドルチェアの完成版で、その代表的存在である「ローマン・スピンドルウィンザー」には、一般的なウィンザーチェアが有する構造や意匠的特徴の他に、笠木が幅広で分厚い、背棒や脚・貫が紡錘形で輪やくびれ・玉等の旋盤装飾が付く、貫はH形で各脚を繋ぎ補強する、左右2本の背柱は角材を湾曲させ前後に曲面を付けた削り出しで上部に旋盤装飾がある、各棒材が太め、座板が四角で角が丸くなっている等の固有的特徴があります。

種類

その種類には、先ずは肘掛があるアームチェア型や、それが無いサイドチェア型があり、更に背もたれが高いハイバック型や全体的に小ぶりなもの、揺れ椅子機能が付加されたロッキングチェア型等もあります。

そして、狭義的には、背棒に輪や玉の装飾がない初期型は「スピンドルチェア」、装飾付のものは「ローマン・スピンドルウィンザー」と呼び分けられます。
また、中央辺りの背棒に代わり、バイオリン形等の背板(フィドル)が付けられたものは「フィドルバックチェア」と呼ばれ、背棒が平らで湾曲した「ラスバックチェア(スラットバックチェア、ファームハウスウィンザー)」と呼ばれる近似種もあります。

笠木(かさぎ/背もたれの上部の横木)

中央が上方に湾曲した長円形や、その両端下部に刻みが入るものが多く、前後方向も背に合わせて湾曲されています。

貫の形状

くびれや輪・玉等の挽物加工が施された「バラスタースティック」を用いたH形や中棒2本のダブルH形、前後左右で囲う箱形等があります。

脚の形状

「バラスターレッグ」が用いられ、下部が外に開くように取り付けられます。

材料

ビーチ(ブナ)を主として、アッシュ(タモ)、ユー(イチイ)、エルム(ニレ)、オーク(ナラ)等があり、表面の仕上げには、褐色やこげ茶色等のほか、木地の色を活かした白木的なものなどもあります。

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