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ホイールバックチェアとは

ホイールバックチェアとは、イギリス発祥の伝統的木製椅子「ウィンザーチェア」の一種です。尻形の窪みがある座板に挽物(旋盤加工)の脚や背棒を差し込む同椅子の特徴に加え、車輪形の透彫がある装飾板が付く背もたれ「ホイールバック」を持つ特徴を有します。18世紀後半頃に現れて人気を博し、ウィンザーチェアを代表する存在となりました。

ウィンザーチェアの代表作、「ホイールバックチェア」

「ホイールバック(車輪背)」の名は、背もたれ(バック)中央の背板(スプラット)に、木製車輪(ホイール)を模った彫刻装飾があることにちなみます。当時の著名デザイナー、アダムやヘップルホワイト等の意匠がその由来ともされますが、定かではありません。

「ホイールスプラットバック」「ホイールバックウィンザー」とも呼ばれ、弓なりの曲木(ボウ)で背棒を囲う背もたれを持つ、ウィンザーチェアの二大種の一つ「ボウバック」型に多くみられます。同椅子の隆盛に伴い食卓用として人気を博し、18世紀末から19世紀にかけて大流行し、その主流と化します。
それは、19世紀半ばまでに生産されたウィンザーチェアの4分の3を占めると推定されるほどでした。20世紀後半以降衰退しますが、ウィンザーチェアの傑作とされるその容姿や実用性により、今も世界で愛されています。

ホイールバックチェアの歴史

イギリスの「民芸椅子」ウィンザーチェアがルーツ

ホイールバックチェアは1780年頃には使われていたとされ、17世紀後半発祥のイギリスの庶民家具、ウィンザーチェアの新種で、18世紀中頃に現れたボウバックチェアの一種として、同国中南部のハイウィカムで作られ始めました。

ホイールバックチェアはボウバックチェアの1つとして登場

ボウバックチェアは、背棒上に笠木(横背板)が付く櫛形(コム)の背もたれを持つウィンザーチェアの初期型、「コムバックチェア」の背もたれの弱さを改善するために考案されたとみられ、蒸気で曲げた木枠で背棒を保護する強さと低価格で人気を得ます。
その初期のものは、コムバック同様、簡素な丸背棒(スティック)をもつスティックバック型でしたが、間もなく背の中央に装飾的な背板(スプラット)が付くものが出現。そして、その一種として、車輪形装飾をもつホイールバックが現れました。それは、ボウバック型がコムバック共々、ウィンザーチェアの基本形と化して発展するのと軌を一にして人気を博します。

ボウバックチェアがウィンザーチェアの主流に

18世紀半ば頃から著名家具師チッペンデール風の優美なカブリオールレッグ(猫脚)やH形の貫(ぬき。補強横木)がウィンザーチェアに使われ始め、座も四角や台形に移行しますが、それらはボウバック型にも採用されます。
そして同世紀末にはボウバックがコムバックを抜いて主流となり、なかでもホイールバックチェアがその主流となりました。

19世紀に入ると、生産性の良い手すり子形挽物による「バラスターレッグ」やH形貫が主流となり、ホイールバックチェアも同様となります。
そして、世紀半ばには人口増や用途拡大もあり、当時主流となっていた「ローバックチェア」共々、ホイールバックチェアはウィンザーチェアの最盛期到来を担うこととなりました。

アンティーク・ウィンザーチェアのデザインとして今もなお愛され続ける

やがて盛況は価格競争と品質低下を生み、ホイールバックチェアを含むウィンザーチェアの衰退を招きます。生産比率は下がり、20世紀後半にはパイプ椅子に主役を奪われました。
しかし、生き残った企業が近代化に努力し、またその伝統を基に新たな家具作りを目指す動きも現れました。日本でも用の美を尊ぶ「民芸運動」と結びつき、多くのウィンザーチェアが模造され、また古い作品の収集も行なわれました。ホイールバックチェアも、定番品として現在に至るまで製作されます。

簡素ながらも美しい姿の椅子に調和した素朴な車輪装飾――。西洋家具の傑作は今後も愛され続けるに違いありません。

ホイールバックチェアの特徴(種類・地域特徴・装飾・各部形状・材料・仕上げ)

ウィンザーチェアは、イギリスと、かつてその植民地であったアメリカが主産地ですが、ホイールバックチェアは装飾を好まないアメリカや、コムバック型の椅子には存在しないとされます。
しかし、現代品等を含めると例外があり、その限りではありません。ここでは、その作例の大多数を占める一般的なボウバック型の特徴を解説します。

種類

その種類には、先ずは曲木の肘掛があるアームチェア型の「ダブルボウバック(米名サックバック)」や、それが無いサイドチェア型か付け足し的な肘掛付の「シングルバック」があり、その他には3枚背板のトリプルスプラット、セティ、ロッキングチェア等があり、肘掛の無いものには座の張り出し(ダブテール)から笠木に伸びる2本の補助丸棒(ブレイシングスティック)が付くものもあります。

生産地域ごとのデザインの違い

有名なところではヨークシャーは背が高めで挽物が太くノッティンガムは低い等があり、地域にかかわらず背もたれが高い大型のハイバック型や、低い小型のローバック型もあります。

背板の装飾や形状

バイオリンや壺、花瓶形とも称される、Y字の上に車輪とX形を重ねたような透彫によるものが多く、後述のブラインド型では撚り紐的な透彫形が多く見られ、車輪の模様には背板の上部または中間に入る車輪の輻(や。スポーク)を彫り残した円形の「ホイール」や、透彫がなく同心円彫刻が施された同「ブラインドホイール」があります。

貫(ぬき)の形

H形や中棒2本のダブルH形、牛角形、X形、前後左右で囲う箱形等があり、

脚の形

ストラットレッグ(丸棒脚)、バラスターレッグ、猫脚等があります。材料には、ビーチ(ブナ)、アッシュ(タモ)、ユー(イチイ)、エルム(ニレ)、オーク(ナラ)等があり、表面の仕上げには、褐色やこげ茶色等のほか、木地の色を活かした白木的なものなどもあります。

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