ラフジュ工房の仕事

ラフジュの家具が仕上がるまで -アンティーク家具リペア職人の仕事に迫る

「ラフジュさんの家具はきれいでびっくりした!」
そんなお言葉を頂くことも多いラフジュ工房のアンティーク家具。その品質は、自社工房の職人たちによって支えられています。一点一点が異なるアンティーク家具を修理し、現代の生活でもきちんと使える状態にしていくことは簡単なことではないけれど、だからこそ誇りをもって毎日家具と向き合っています。
「古いものの良さは残しつつも、きちんと生活の中で使えるアンティーク」を目指して、家具の状態によっては、ほとんどを新たに作り替えることもあるんですよ。木工の技術を活かして、アンティークの良さは残しつつも安全に使い勝手良く愛用していける家具へと生まれ変わらせる。
今回はそんな職人たちの仕事に着目し、ラフジュ工房のアンティーク家具がどのように仕上げられていくのかを、ひとつの家具が完成するまでのプロセスを追いながらご紹介します!

どんなに古いものでも、責任をもって再び世に送り出す

「これはひどいなあ」「くの字に傾いていますね」などの声とともに工房に運ばれてきたのが、今回修理するこちらの二段重ね収納棚。下段のガラスは一部抜けていたり、赤い塗料で汚れていたりします。さらに、引き出しもご覧のとおりガタガタ。引き出すのも大変そうな状態です。
古家具
ラフジュ工房で行う家具の修理は、「リペア」と「フィニッシング」という2つの工程に分かれています。「リペア」は、木工技術を活かして家具を修理する工程です。そうして修理された家具を、着色しワックスをかけて仕上げるのが「フィニッシング」工程です。
「リペア」の工程では、基本的にはひとつの家具をひとりの職人が最初から最後まで担当します。その理由は、扱っている家具がアンティークであるため。ほとんど全てが一点ものなので、同じ製品を大量に作るようなライン生産は向きません。
ひとりの職人がひとつの家具とじっくり向き合い、昔の職人が何を考えてどのような施しをしたのか、対話をするように、そこに込められた想いを汲み取りながら修理していきます。
木工職人
今回の収納棚を担当することになったのは、入社2年目のリペアスタッフ阿部。大学卒業後にラフジュ工房へ入社しました。ラフジュ工房で働く職人は、阿部のように若い職人ばかり。中には未経験から修行を積んで活躍している職人もいるんですよ。阿部も大学時代に木彫を学んでいましたが、家具の修理の経験はありませんでした。
「木彫も家具の修理も、同じ木というものに対して同じ道具を使って向き合うわけですが、でも全然違いますね。家具は人が使うもので生活に密着しているものだから、木彫では考えたことのない”使いやすさ”や”使い勝手”も考えるというのは少し戸惑いました」
初めのうちはどうしたらいいのか分からないことばかりで、その都度先輩の職人に相談しながら、知識や技術を身に着けていきました。
仕事に慣れてきても、毎回担当する家具の種類や状態が変わるので、いつも新鮮な気持ちで仕事に臨めると言います。
「今回の収納棚は大きくて存在感もあるので、きれいになったら空間の中でも目を引く素敵な収納棚になると思いますよ。最初に家具の状態を確認して、どこをどのように直すのかを考えます」
そう言いながら、早速家具の点検を始めました。

まずは家具の状態を確認

ラフジュ工房に運ばれてくる家具は、作られた時代も国もバラバラ。どこでどのように使われていたかによっても、その状態は様々です。細かな部分の状態まできちんと把握し、それぞれの家具に適したリペアを施します。
家具 虫食い
まず阿部が手を伸ばしたのが、上段向かって左上の部分。
「虫食いがひどいので、ここは新しい材で作り直します。古い材とも馴染むように、最後にはきちんと色を合わせるので違和感なく仕上がりますよ」という阿部。
古いまま残せるところは残して、必要があれば新材で補強したり作り替えるというのがラフジュ工房の基本的な修理の方法です。
「古いものが良くても、やっぱり虫食いがそのままっていうのは嫌ですよね。虫食いがあると、衛生面だけでなく、強度の面でも問題が出てきます。虫食いの進行が深刻だと、後々壊れてしまうこともあるので、そうならないようにここでしっかりリペアしておくんですよ。やっぱり、古いものの味わいとか良いところは残しつつも、きれいな状態で安心して使えることも大事なので」
そう言いながら、真剣な表情で家具を隅々までチェックしていきます。
家具 リペア 職人
支柱(仕切り板)はどの程度しっかりと付いているか、叩いて強度を確認します。今回はぐらつきがあるうえに上部に隙間もあったため、こちらも新たに作り直すことにしました。
家具 仕切り板

支柱(仕切り板)と天板の間に隙間ができていました

建具も外して確認します。ゆるみやがたつき、歪みがないかをしっかりチェック。同時に、ガラスがどのように入っているかも確認します。
建具 ガラス
「これは”はめ殺し”になっているので、後からでもガラスの交換ができるように作ってあげます」
昔の建具は「はめ殺し」と言って、木枠を分解しないとガラスの入れ替えができない造りのものがほとんど。今回の収納棚もこの「はめ殺し」でした。しかし、これだとガラスが汚れたり割れたりしたときの交換が大変になってしまいます。そこで、後からでもガラスの入れ替えができるような造りに変更するというわけです。
引き出しは、底板が欠けていたり、側板も傷んでいたりと、かなりひどい状態。強度についても清潔さについても安心して使えるように、新材で丸々作り替えることにしました。
収納棚 引き出し
ひと通り点検を終えた阿部は、「これは結構修理が必要になりますね。でも直った時にはきちんときれいな家具に生まれ変わるので、やりがいがありますよ」とやる気を見せてくれました。
「だいたいどこをどのように直すか方向性は決まったので、あとはばらして、そこからまた組み立て直していきます。一旦全部ばらすことで、さっきの虫食いのような部分が他にないかなど、きちんと細部まで点検できます。家具の状態にもよりますが、基本的にはどの家具もきちんと細かくチェックすることで、安心安全に使っていただける家具に仕上げることができます。ここまでこだわって徹底的に修理しているところは他にあまりないんじゃないかと思いますね」

味わいを活かしてそのまま使う材もあるので、丁寧にばらす

家具 リペア
家具を点検し終えたら、いよいよ作業に入ります。まずは家具を全部ばらすところから。
家具をばらして、先ほどの虫食いのように傷んでいる材は取り除きます。当て木をして玄翁(げんのう)で叩きながら材を外していきます。
「当て木をしないと、材に玄翁の丸い跡がついてしまうことがあるので」という阿部の言葉のように、そのままの状態で問題なく使える材は、古材の味わいを活かすためにもそのまま残すため、丁寧に扱います。

※玄翁…釘を打ったり叩いたりする道具。「かなづち」や「とんかち」などと呼ばれることもあるが、正確には「両口玄翁」と言い、左右対照に打面が二つあるものを指す。
家具 修理
ばらした材には、どこの部分の材であったかがわかるように印をつけておきます。こうしておくことで、再び組み立てるときもスムーズに作業がおこなえます。
家具 木材
ばらしの作業が終わると、このようになりました。もはやどんな家具だったか想像するのは難しい状態。この状態から、取り除いた分の材を新材で足しながら、再び家具を組み直していきます。
家具 材

木工機械を使って新材を切り出す

ばらしの作業が終わったら、足りない材を新材で補います。取り除いた材と同じ寸法に新しい材を切り出すのですが、ここで登場するのが木工機械。ラフジュ工房には6種類の大型機械を備えた機械室があり、新材の切り出しはこの機械室でおこないます。
木材 機械
新材の切り出しに使うのは、こちらの「軸傾斜盤(ソーストップ)」。刃に指が触れると0.005秒で止まるという機能がついています。一日中家具に向き合う時間が長い職人たちですから、万が一のときのために、このような安全装置の備わった機械を揃えて安全面には十分に注意しているんですよ。
木工 機械
その他にも様々な木工機械を導入し、木材の厚みを数ミリ単位で均一にそろえたり、きれいなほぞ穴を開けることができたりと、手作業では難しい細かな作業もスムーズにおこなえるようになっています。こうした機械の力も借りながら、古い家具の魅力をさらに引き出していきます。

※ほぞ…木材を接合するときに凸型に小さく突出させた細工のこと。ほぞが入る穴を「ほぞ穴」といい、二つが噛み合うことで木材を接合することができる。

「アンティークの良さ」は残しながら組み立てる

新材を切り出したら、いよいよ元の姿のように組み立てていきます。まずはフレームを組み立てて、次に底板を入れていきます。
元々の古い材は、時を重ねてきた落ち着きと深みのある色合い。一方、切り出した材は、まだ新しい白い色。この色味の違いは、組み立てが完了した後の「フィニッシング」の工程でしっかりと合わせていきます。
家具 組み立て
今回の収納棚のリペア工程の中では、底板をはめる作業が一番楽しいという阿部。
「古い家具の中には、作りが雑で寸法がバラバラなものがあることも多いけれど、新材で新しく作り替えることできれいにピタッとはまる。そんなパズル的な楽しさが好きですね」
そう言いながら、黙々と作業を進めていきます。
木工 作業
底板を留める釘は、あえて錆びた釘を使っています。これもラフジュ工房のこだわりのひとつ。アンティークなのに新品のピカピカの釘が打たれていたらがっかりしてしまいますよね。古い家具ならではの趣を殺してしまわないように、こうした細かい部分もその都度どのようにするのがベストなのかを考えながら作っているんですよ。
アンティーク 釘
建具は少しだけデザインを変えました。横桟だけで少しのっぺりとした印象だったものに、桟を縦に1本追加することでモダンな印象に。これなら現代のお家にも自然になじみます。
アンティーク 建具
建具 リメイク

使い勝手を考えてリメイクすることも

フレームと底板を入れたら、続いて背板、支柱、棚板を入れていきます。
収納棚 棚板
この棚板は、女性スタッフのアイディアから生まれたもの。取り外しやすい造りにし、そのままスッと出し入れが簡単にできるようにしました。このおかげで、棚板の高さ調節も楽にできます。
昔の家具は棚板が一枚の造りになっているものも多いのですが、そうしたタイプのものは、支柱を立てて左右別々で使用できるようにリメイクしています。左右で異なる高さで収納できるので便利ですよ。
これらは普段から家具に触れる機会の多い女性ならでは着眼点。ラフジュ工房では、こうしたアイディアはどんどん取り入れ、お客様により便利にお使いいただける家具作りに努めています。
さて、最後に建具をはめれば組み立ては一旦完了。全体像はこのようになりました。
収納棚 作成

仕上げの工程は女性ならではの細やかな視点で念入りに

ここまで仕上がったら、全体の色味を合わせていきます。ここからが「フィニッシング」の工程。どの部分の色に合わせて全体を着色するのか、リペアを担当したスタッフと仕上げを担当するフィニッシングスタッフで話し合います。古材と新材で違っている色味をどれだけ合わせられるかがフィニッシングスタッフの腕の見せ所です。
家具職人
フィニッシングスタッフは、着色やワックスがけの他、リペアスタッフが見落としている点がないかのチェックもおこないます。引き出しは開けやすいか、汚れや埃がたまっているところはないかなど、使う人の目線に立って、リペアスタッフが修理したばかりの商品を検品します。こうした細かい視点が必要となるため、ラフジュ工房のフィニッシングスタッフは女性が担当しているんですよ。
棚板
棚板 アンティーク
今回の収納棚も、しっかりと色を合わせ、ワックスがけと検品も完了しました。こうしてフィニッシング工程が終わった家具は、再び修理を担当したリペアスタッフのもとへと返ってきます。そして最後の工程「ガラス入れ」をおこなえば完成です。

建具に入れるガラスの種類まできちんとこだわる

建具のガラスは、元々入っていたものの状態が良ければ、きれいに洗って再び使用します。状態が悪くて再利用できない場合は、工房でストックしているアンティークガラスや、場合によっては現代のものを使用します。
ガラス 切り
今回の収納棚は、上段の建具のガラスは状態が良いため、洗い直して再び使用することにしました。建具のデザインを少し変えたので、それに合わせてガラスをカットします。
ガラス カット
カットしたガラスを1枚1枚丁寧にはめて、ビスでしっかり固定していきます。
下段の建具のガラスは、一部欠損していたり汚れが付着していたため、新たにアンティークガラスを入れ直すことにしました。
モールガラス
はめるガラスの種類もひと工夫。ストライプ模様が可愛らしいモールガラスを選びました。レトロな雰囲気で人気のガラスです。家具の雰囲気や他の在庫商品とのバランスも見ながら、その都度入れるガラスの種類を考えるのも職人の仕事のひとつなんですよ。
今回の収納棚は、上段は元々のクリアガラスで見せる収納向きに、下段はモザイク性のあるモールガラスで目隠しできるように仕上げました。
アンティーク 収納棚

職人の手によって魅力的な家具へと再生

収納棚 アンティーク
建具のガラスを入れ、引き手や引き出しの取っ手を取りつけたら、ついに完成です!
家具の状態などにもよりますが、今回はすべての工程が終了するまでに10日でした。
収納棚
修理前は、使える状態からはほど遠かったこちらの収納棚。改めてリペア前と後とを比較してみると、その差は一目瞭然。リペアスタッフ阿部の手によって、魅力的な家具としてよみがえりました。大きさもあって収納力も抜群。戸棚の中も引き出しもきれいに作り替えているので安心して使えます。食器棚にしても本棚にしても素敵ですね。
レトロ 収納棚

スタッフの声

家具 職人 求人

これまで小振りな時代箪笥などを担当することが多かったので、今回のような大型収納棚は初めての挑戦でした。アンティークは一点一点が違うので、ここはどう直そうかと、毎回そのものに合った直し方を模索するのが楽しいです。今回は建具の加工が一番大変でした。追加した縦の桟の加工の仕方など、細かな部分も合わせれば毎回考えることはたくさんあります。自分ひとりでは良い案が浮かばないときは、先輩に相談したり、みんなで話し合って進めていけるので心強いです。今回のように全体の8割ほどを作り替えることは初めてでしたが、新しい経験をさせてもらえたことで、今後もやったことのないジャンルにどんどん挑戦してみたくなりました。
自分が手掛けた家具が、再び魅力のあるものとして世の中で大事に使われていくと思うとやっぱり嬉しいですね。使いやすさや品質にはこだわって作っているので、末永く大事に使ってもらえるといいなと思います。

最後に

ラフジュ工房の「ひとつの家具が仕上がるまで」、いかがでしたでしょうか。
どんな家具でもひとつひとつしっかりと向き合い、使う人の気持ちになって手を加えていく。こうした職人たちの仕事があるからこそ、私たちはお客様に自信をもってアンティーク家具をお届けできます。これまであまり表舞台に出ることのなかった職人たちですが、彼らの存在は欠かすことのできない要の部分。ラフジュ工房ではこれからもスタッフ一丸となって、お客様に快適にお使いいただける「暮らしのなかのアンティーク」をお届けしていきます!
家具 求人
≪ラフジュ工房では木工職人として一緒に働く仲間を募集しています!≫
ラフジュ工房では、現在リペアスタッフ(木工職人)として働く仲間を募集中です。経験者はもちろん、未経験であっても、木工や家具が好きで情熱をもって働ける方であれば大歓迎です。木工職人として前向きに働きたいという方をお待ちしております!

募集要項

勤務地 〒313-0106 茨城県常陸太田市箕町914
時 間 9:00~18:00 ※残業が有る場合もあります。時間は最大2時間程度です。
休日・休暇 土・日・祝日定休(各職種で異なる)、GW、夏季休暇、年末年始休暇、慶弔休暇、有給休暇、特別休暇、リフレッシュ休暇(勤続2年以上の方で、年1回2~7日間取得可能)、他希望相談
給 与 各職種により異なります。詳細はコーポレートサイトをご覧ください。
待 遇 交通費支給(上限20,000円まで)、制服支給、駐車場完備、家賃補助制度、役職手当、残業手当
福利厚生 社会保険完備、退職金制度、社有車レンタル
昇給・賞与 昇給/随時(会社への貢献度など、総合的な実力に応じて随時UP)
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